2016年3月12日土曜日

濃厚、高アルコールは過去の話@加州ワイン

英国で発行されているワイン雑誌Decanter/デカンターに依ります
と世界的に好まれるワイン(特に赤ワイン)とは以下の様な条件を
備えているとの事です。
・色合いはインクの様に濃い
・樽の香りが豊か
・熟した果実のフルーティーな香り
・ジャムの様に熟した味わい
・シッカリとしたアルコールとボディー
・ソフトなタンニン(渋味)
・綺麗な酒質
品種の個性、産地の個性がどうであるかと言う事より、香味がリッチ
で柔らかい口当たりを求める傾向があるのです。かつて、白ワイン
のアルコール度数は(辛口の場合ですが)12%程、赤ワインならば
13%程でした。それが消費者の嗜好の変化に加え、地球の温暖化
の影響もあり、ブドウの成熟度が高まり、ある産地ではアルコール
度数が16%にもなる(Porto/ポートやSherry/シェリーなどの様に
製造過程でグレープ・スピリッツを添加していないにも関わらず)
赤ワインが誕生する様になりました。
2009年に初めてカリフォルニア州のワイン産地、Sonoma/ソノマを
訪れた時に出会ったのですが、それはまるでブドウの作柄が良年
の時に造られるポルトガルを代表する世界最高峰のワインの一つ
Late Bottled Vintage Porto/レイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポートを
イメージさせるものでした。
確かに味わいは芳醇で飲み応えがあり、ワインを飲んでいるぞと
思えるのですが、反面、複数杯飲んでいると飲み疲れしたり、飽き
が来たり、そして相性の良い料理が限定的になったりと、良くない
事が次々と現れて来てしまいます。やはり、何事も程度が大切だ。
そう強く感じました。



あれから7年。カリフォルニア州のワインはどうなったのか?それを
知りたくて未知の地Napa/ナパ、既知の地ソノマへ行って来ました。
結論から言いますと、高アルコールのワインはあるものの、香味に
優しさを感じられる様に変化していましたし、ほとんどの赤ワインの
アルコール度数は高くても14%代前半でした。



温暖化は収まっていないのになぜ?色々な要因があるのでしょう
が、ブドウの栽培地が冷涼さを補える標高のある場所へ移った事、
熟し過ぎないブドウを栽培する様になった事、ナチュラルなワイン
造りをする様になった事、消費者がリッチ過ぎるワインは×と反応
した事などが挙げられます。
チリのワインもそうですが、今、アメリカ大陸のワインに大きな変革
の波が押し寄せています。ワインはブドウ畑で造られる。ワイン造り
はナチュラルに。当たり前の事なのですが、あらゆる面から正確に
取り組んでいる様を見聞して来ました。次回からナパ、ソノマ滞在記
の連載を始めます。是非、ご覧下さい。