イベリア半島西部のポルトガル北部からスペインの海岸寄りに同じ様
な酒質の白ワインが誕生するワイン産地があります。ポルトガルでは
Vinho Verde/ヴィーニョ・ヴェルデと言い、スペインではRias Baixas/
リアス・バイシャスと言います。強いて異なる点を挙げれば、リアス・
バイシャスは白ワインしかないのに対し、ヴィーニョ・ヴェルデはロゼ
ワインも赤ワインもあります。
ヴィーニョはポルトガル語でワインの事、ヴェルデは緑の事ですが、
緑色のワインと言う事ではなく、生き生きとした活気のある若さに満ち
溢れたワインと言う程の意味を表しています。日本では若い事を青い
と形容する様な事です。
ヴィーニョ・ヴェルデはライトでフレッシュ、繊細な酒質の為、かつては
旅の出来ないワインと言われ、ポルトガル国内でしか味わえません
でした。
輸送技術の発達、輸送時間の短縮のおかげもあり、ここ数年は日本
でも現地で味わえるのとほぼ同じ様なコンディションを楽しめる様に
なり、現地でヴィーニョ・ヴェルデに目覚めたワイン・ラヴァーにとって
喜ばしい時代になりました。
ヴィーニョ・ヴェルデの産地は上の画像、9色に色付けられたエリア
からなり、一つのエリアからのブドウで造られる事も、複数のエリア
からのブドウで造られる事も、また、単一の品種から造られる事も
あります。
近年、日本ソムリエ協会の認定試験やコンクールに出題される事
があるAlvarinho/アルヴァリーニョ(スペインのリアス・バイシャスで
Albarino/アルバリーニョ)はこの産地を代表するブドウの一つで
白桃のアロマが特徴的で、酸味と香りが豊かな白ワインへと変身
します。
他にLoureiro/ロウレイロと言う品種があり、アルヴァリーニョより
劣勢の品種とされていますが、造り手、産地、気候などの様々な
条件が加わり、必ずしもアルヴァリーニョの白ワインに劣る品質に
なるとは限りません。
事実、この度、届いたこの秋に収穫したロウレイロから造られた
出来立てのヴィーニョ・ヴェルデは今まで味わった中では別格の
品質をしていたばかりでなく、今年、テイスティングした白ワインの
中(約5,000種類)でもトップにランクされるべき驚きの品質をして
います。
その白ワインがこちらです。Casa de Pacos/カサ・デ・パソスが造り
出した逸品です。Riesling/リースリングやViognier/ヴィオニエなど
のアロマティックなワインを連想させます。
白い果肉の果実、白い花を思わせる華やかさ、メントールの爽やか
なヒント、凝縮した果実味、そこに内包された酸味とミネラルの主張。
リッチな香味が長く、美しく、品良く、口中を満たし続けます。
粘度を感じる味わいには、鶏肉の旨味が上品に染み出た白湯
スープの味わいだけで食す鶏の水炊きの最高の相棒になると
思います。ワインの爽やかさを引き立てるのなら、刻みユズを
添えてあげるのがベターです。
ユズ白湯スープのラーメンやつけ麺ともこの白ワインなら十分
お楽しみ頂けるでしょう。
ポルトガルからやって来た逸品、カサ・デ・パソスのヴィーニョ・
ヴェルデを是非、味わい尽くして下さい。
*Casa de Pacos 2015 Vinho Verde Loureiro
カサ・デ・パソス2015ヴィーニョ・ヴェルデ、ロウレイロ
飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口>
3,000円(消費税別)