イタリアで最も有名な赤ワインBarolo/バローロやBarbaresco/バルバレスコ
を造るブドウがNebbiolo/ネッビオーロ。その主産地はピエモンテ州ですが、
イタリア最小の州、ヴァッレ・ダオスタやイタリアで最も豊かな州と言われる
ロンバルディアでも栽培され、素晴らしいワインへと変身しています。
ネッビオーロはヴァッレ・ダオスタではPicutener/ピクテネル、ロンバルディア
ではChiavennasca/キャヴェンナスカと呼ばれ、バローロやバスバレスコと
同じ様な外観をしているワインでありながら、味わいはジューシーで軽やか
優しい酒質をしている事が多い様です。
ロンバルディアのキャヴェンナスカの産地はValtellina/ヴァルテッリーナで、
岩肌が見える険しい山がそびえ立っています。大都市ミラノからそう遠くは
ない位置にありますが、北上するに従い大きく地形を変える広大な風景に
圧倒されるばかりです。
高速道路を時速120キロメートル程で2時間程北上するとヴァルテッィーナ
の産地に入ります。すぐさま東に進路をとり、中心地のソンドリオに向かい
ます。ソンドリオに向かうに従い、上の画像の山々は更に険しさを増し、
頂きに雪を冠した山も現れてきます。
氷堆石に削られ出来上がった谷底にはアッダ川が流れ、川の両岸には
少しばかりの平野があり、その先にはすぐさま急斜面の山がそびえます。
険しい岩肌を開墾し、ブドウは段々畑で栽培されています。
この地は標高数千メートルなのですが、とにかく日射量が半端ない。刺す
様な陽光とは真にこれです。比較的温暖な気候が必要なネッビオーロが
この地で栽培できるのは、そうした理由があったのです。
ヴァルテッリーナの赤ワインを生む優れたブドウを育む地として認定された
5つのエリアの内の一つにGrumello/グルメッロがあります。そのエリアの
有名スポットがグルメッロ城、上の画像です。
ヴァルテッリーナの赤ワインを造るFay/ファイと言う造り手が所有するこの
城の南面にはブドウ畑があり、日の出から日没までタップリと陽を浴び、
育った熟度の高い健全なキャヴェンナスカが収穫できるそうです。
それにしてもここからの景色が壮大で美しい事。石塀に腰かけ、ホテルで
作って貰ったサンドウィッチを食べつつ、この景色を目に焼き付けました。
今回のイタリア滞在では一つのスポットの滞在時間が平均30分程でした
ので、唯一ここがゆっくり出来た場所でした。
上の画像の色でマークされたエリアがグルメッロなどの小区画です。現地
で同じ造り手の同じヴィンテージの区画違いのワインを購入し、飲み比べ
ましたが、確かに異なりました。
因みにグルメッロはコクがあり、長期熟成タイプと言われ、次回、紹介の
Sassella/サッセッラは上品と言われています。実際の比較ではどうだった
のかと言いますと、サッセッラはしなやかさがアフターに残り、グルメッロ
は力強さと温かみがアフターに残り、教科書で言われている通りでした。
それにしても画像を見ただけでこの地の険しさが分かります。川のある
場所だけが平地ですから。
次回は更に秘境の様な地、Chiavenna/キャヴェンナ(画像の左上の村)
にMamete Prevostini/マメーテ・プレヴォスティーニのレストラン併設の
ワイナリーを訪ねます。