ウォーキング用のシューズがあります。野球のバットには硬式用と
軟式用があります。何をするにも用途別に用具、道具を使い分け
ます。
ワインの原料はブドウです。私達が食卓で味わう巨峰もデラウェア
も、ワインを味わう人なら誰もが知っているChardonnay/シャルドネ
もCabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョンもブドウ科ブドウ属
の同じ仲間です。しかし、ワインを造る上で優位性があるか、そうで
ないかは種により差が出ます。
ワインを造る為の好適種はVitis Vinifera/ヴィティス・ヴィニフェラと
呼ばれ、シャルドネやカベルネ・ソーヴィニョンなどの種になります。
しかし、ヴィティス・ヴィニフェラ種であると言う事だけでは足りない
条件があります。良質なワインを造る為に、ワイン醸造用に植樹、
栽培しなければなりません。
近年、世界のワイン市場でも注目度急上昇の甲州ワイン。日本の
オリジナルと言えるヴィティス・ヴィニフェラ種の甲州と言うブドウ
で造った白ワインです。
この甲州の白ワインがなぜ注目に値する様になったのか。それは
劇的な変化を遂げたからです。甲州から造った白ワインと言えば、
かつては色も香りも穏やかで、味わえば甘くフルーティーではある
ものの、主張は控えめな恥ずかしがりやさんの様なワインでした。
ワインを味わう経験を積めば積む程、その無個性さに物足りなさ
を感じざるを得なかったのです。
成熟したワインラヴァーはシッカリ個性を主張させつつ、その個性
を活かす楽しみ方をするものです。引き立てたい個性が不足して
いるのですから、飲まれなくなってしまうのは当然の成り行きです。
生食する為のブドウとワイン醸造用の為のブドウは、それが同じ
品種でしたら、熟度による糖度、内包されたエキス分などに決定的
な違いがあります。その違いは用途に合わせ、ブドウをどの様に
育てたかによります。
上の画像も下の画像も甲州ブドウです。同じ品種にも関わらず、
全く異なる外見をしています。上の画像の甲州は棚栽培(私達が
ブドウ産地で普通に見かける屋根の様になった頭上の樹に実が
なる)で生食用として栽培したものです。
下の画像はワイン醸造用ブドウの栽培では主流の垣根仕立て
(樹を垣根の様に列状に植樹し、地面から一定の高さに実が
なる)で育てている所です。
1本の樹になる実の数が違い、結果、その実に集まる養分の差
が房の形状、実の形状、果汁糖度、エキスの相違を生みます。
糖度で言えば、生食用のブドウの2倍近い糖度をワイン醸造用
ブドウは含有しています。実を手で握りつぶすと果汁の粘性で
指がくっついてしまう位です。
気温、雨量、日射、土壌など様々な要素に影響を受け、それらを
考慮し、ブドウは栽培されますので、垣根仕立てで栽培する事が
いつでもどこででもベストの選択肢と言う訳ではありません。
しかし、中央葡萄酒(グレイスワイン)が山梨県北杜市明野町に
拓き、垣根仕立てで栽培を始めた甲州ブドウは明らかな違いを
ブドウの外観にも、出来上がったワインの酒質にも見せてくれ、
この地で甲州の垣根栽培が上手く行っている事を証明している
と思います。
また、その事は2013年ヴィンテージのキュヴェ三澤、明野甲州
(上の画像の畑の甲州ブドウで造った白ワイン)がデキャンタ・
ワールド・ワイン・アワーズで金賞を獲得した事実でも証明され
ています。
こちらが2014年ヴィンテージのキュヴェ三澤、明野甲州です。
2013年同様、白い花や白い果肉の果実を思わせる香りがあり
リンゴ酸とミネラルの広がりを綺麗に感じる酒質をしています。
2014年も高レヴェルに仕上がっています。強いて言えば、14年
の方が柔らかさがあるかもしれません。
3ヘクタールの畑から収量制限を厳しくし育てられた甲州ブドウで
造った僅か7,000本程のこの白ワインですが、この度、当店への
最終割り当て分が届きました。
値段は少々張りますが、甲州の白ワインなんてと思っている方に
飲めば筆舌に尽くし難い衝撃をあたえる事は間違いありません。
日本オリジナルのブドウ、甲州から誕生した日本最高峰の甲州
白ワインを是非、味わってみて下さい。そして、世界に認められた
その品質を実感してみて下さい。
*キュヴェ三澤、明野甲州
相性の良い料理:素材の持つ優しい甘味を活かした軽やかな
味わいの料理。
チーズなら・・・モッツァレッラ。
飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口> 6,000円(消費税別)