2015年5月1日金曜日

ワイン・テイスティング@Weingut Wieninger

オーストリアを代表する造り手のヴァイングート・ヴィーニンガー。白ワイン、
赤ワイン、ロゼワイン、スパークリングワイン(=Sekt/セクト)、そして甘口
ワインも造るマルチ・ワイナリーです。
中でも3種類以上のブドウを一緒に醸造し、造り上げる白ワインGemischter
Satz/ゲミシュター・サッツ。Pinot Noir/ピノ・ノワで造るエレガントな酒質の赤
ワインが印象的です。
ヴァイングート・ヴィーニンガーはドナウ側の両岸に畑を所有しています。一つ
はBisamberg/ビサムベルクと言う街に、もう一つはNussdorf/ヌスドルフと言う
街にあります。ヴァイングートとは自らが造るワインの原料となるブドウを自己
所有の畑で栽培し、収穫し、醸造する造り手の事で、フランスのブルゴーニュ
のDomaine/ドメーヌ、ボルドーのChateau/シャトーと同義語です。



上の画像の丸い赤い点がStammersdorf/シュタンマースドルフと言う街にある
ヴァイングート・ヴィーニンガーの所在地で、赤線で囲んだエリアがブドウ畑の
ある街です。河の右側(左岸)は創業時から所有している畑のあるビサムベルク
の街があり、レス(粘土質)が多い土壌で、そこで栽培されたブドウから出来る
ワインは、果実味のリッチさが備わる華やかな酒質になります。
左側(右岸)は念願が叶い1999年に取得した畑のあるNussberg/ヌスベルクが
あるヌスドルフの街があり、風化した大小の石灰岩の混じる土壌で、ワインは
ミネラルの含有量が多く、シャープな口当たりの酒質になります。


こちらが客人を迎えるスペースです。正面にはワインのタイプに合わせた様々な
フォルムのワイングラスがセットされ、テイスティングの時もワインに合わせ何度
もグラスを変え、特徴を最大限にチェック出来るように配慮していました。
グラスをセットしてある壁の奥にある部屋はキッチンになっていて、専属のシェフ
がいて、このスペースでワイン・パーティーを頻繁に行っているそうです。訪問した
前日の夜はアメリカからのお客様が集い、パーティーを深夜まで行ったとの事。
気品ある空間、素晴らしいワイン、セレクトされたグラス、専属シェフの特製料理、
こんな組み合わせのパーティーに出てみたいものです。
テイスティングしたワインはオーストリアを代表する白ワインを造るブドウGruner
Veltliner/グリュナー・ヴェルトリナーのワインに始まり、ウィーンの伝統的特産品
ゲミシュター・サッツの白ワイン、Riesling/リースリングの白ワイン、Chardonnay/
シャルドネの白ワイン、ピノ・ノワの赤ワイン、ウィーンの地に昔からあるこの国の
個性的な品種のひとつSt.Laurent/ザンクト・ローレンの赤ワイン、複数の品種で
造ったボルドータイプの赤ワイン等々を畑違い、収穫年違いなど含め全20種類
チェックしました。
品種が違えば香味が異なるのは当然ですが、同じ品種であっても、土壌の組成
により出来るブドウの質が異なりますので、結果、ワインの香味が異なる。それ
を畑違いで実感できたのが非常に興味深く、貴重なテイスティングとなりました。


そして、超サプライズです。最後はピノ・ノワのワインです。ピノ・ノワなのに何が
超サプライズ?上の画像がそのワインなのですが、収穫年は2002、しかもな、
何と貴腐ワイン(Trockenbeerenauslase/トロッケンベーレンアウスレーゼ)です。
ピノ・ノワは果皮の色が青みがかった黒色の黒ブドウなのですが、黒ブドウに
菌が付着すると貴腐果にはならず、単なる腐敗果になってしまう事がほとんど
の為、黒ブドウから造られた貴腐ワインに出会う事は極めてレアなのです。この
業界に27年いますが、黒ブドウから造られた貴腐ワインは1度しか味わった事
がない位ですから、いかにレアものか想像して頂けると思います。こんな貴重な
体験が出来た事に感謝します。


3時間ほどの滞在でワイナリーを後にしましたが、ワイナリーの一部のかつて
の所有者の教会を画像に収めました。正面の教会の左側に隣接して煉瓦の
壁があり、その隣にワイナリー施設があります。
ヴァイングート・ヴィーニンガーへの訪問はスケジュールの都合でワイナリー
の見学とテイスティングだけになりました。この日は他にもう一軒の訪問アポ
があり、その後に時間がありましたので、自力でヌスベルクの畑を見に行き
ました。そのレポートは次回に。