2015年5月14日木曜日

最先端Pinceszet/ワイナリー

国営銀行など国を挙げての支援で復活を遂げたPannonhalmi Apatsagi
Pinceszet/パンノンハルマ修道院ワイナリー。小高い丘を利用し、丘の
上から下へ向かって重力に逆らわずにブドウ、果汁、ワインが下りて
行く構造のワイナリーは外からでは全てを見渡せません。その内部は
外観に違わず、極めて近代的で、塵ひとつない綺麗な空間が広がって
いました。



上の画像がワイナリーの最上層で、ブドウの搬入口です。左奥から延びる
小道を通りトラックで搬入されて来ます。この屋根の下でブドウを下ろした
後、右奥へと続く小道へと進みます。その方向に修道院があります。



先程の搬入口を背にワイナリー最上階の内部を見た画像が上です。木製
の開放桶と密閉ステンレスタンクがあり、開放桶では赤ワインと一部の白
ワインの醸し発酵(果汁に果皮の色素やブドウのエキスを移行させる工程)
を行い、テンレスタンクではアロマ重視の白ワイン用の醸しを行います。


果汁、ワイン、洗浄用水などはパイプを通り、最上階から階下へと重力に
逆らわず流れて行くシステムが上の画像です。重力に逆らわず下へ下へ
流れて行きますので、果汁、ワインには負荷がかからず、より自然な状態
を保ち、果汁→発酵→ワインへと進みます。


こちらの画像は最上階の直ぐ下の階です。温度管理をしながら、最終発酵
を行います。その為、この階には温度管理が出来るステンレスタンクしか
ありません。赤ワインも適切な発酵温度に保たれ、ここで発酵させます。
上の階に設置されたタンクの下部が天井から出ていて、長方形のふたが
見えます。この部分はブドウの果皮や発酵過程で発生した沈殿物など次
の工程に必要のなくなった物質の取り出し口です。タンクから液体を別の
容器に移した後、タンク底部に残ったその残留物をこの開口部から掻き
出します。
この階には窓がないのにお気づきでしょうか?この階は丘の土中にある
部分で外部からは建物が見えません。土中にある事で外気の変化に影響
を受ける事なく、建物内部の環境を一定に保てるメリットがあります。



こちらはワイナリーの最下層です。2つのタンクに凍結した帯状の部分が
あります。表示されている温度はマイナス2度です。何をしているのかと
言うと、ワインにはブドウ由来の天然の酒石酸が含まれています。この酸
が一定の条件下で結晶化し、ワインのダイヤモンドとも言われる酒石に
なります。
この酒石は口に含んでも何ら害はないのですが、ボトル内に沈殿している
のを見て、異物混入と誤解をする消費者がいる事、害はなくても口に含む
とざらつきが心地良くない事などを理由に人工的に抽出させているのです。
この過程を経る事で、ボトリングしたワインは瓶内で酒石を造り出す事が
なくなります。
次回は更にワイナリーの中を進みます。