伝統があります。それはひとつの畑にブドウを1種類だけ植えるのではなく、
少なくとも3種類以上、多い時には10種類ほどの異なる品種のブドウを植え
栽培、収穫し、それらを同時に一緒に醸造、白ワインを造ります。このワイン
をGemischter Satz/ゲミシュター・サッツと言い、ウィーン市内のワイン酒場
Heurige/ホイリゲで楽しまれています。
近年、このゲミシュター・サッツが再認識され、2013年にオーストリア国内の
ワイン法で格付けされました。その格付けに尽力したのが過去数回に渡って
紹介しましたWeingut Wieninger/ヴァイングート・ヴィーニンガーのオーナー兼
醸造家のFritz Wieninger/フリッツ・ヴィーニンガーさんです。
彼はかつてゲミシュター・サッツに否定的でした。しかし、今では世界に向けて
ゲミシュター・サッツの個性を知らしめ、そのユニークさ素晴らしさを伝えようと
しています。オーストリア白ワインとは何かを伝えるには、ゲミシュター・サッツ
がベストだと断言しています。
ゲミシュター・サッツはウィーンの街並みを一望できるNussberg/ヌスベルクと
言う畑で見る事が出来ます。ブドウ栽培家ではありませんから、樹を見ただけ
では複数のブドウが植樹されていると認識できないのですが、葉が出て、実
がなれば、様々な種類のブドウが同じ畑にある事に気付くでしょう。
ヌスベルクの畑は風化した大小の石灰岩が混じる土壌で、小高い山の斜面
にあり、主に南東を向いています。日の出から午後まで十分な日照があり、
エネルギーを蓄える為の光合成が活発に行われます。ブドウは十分に熟し
石灰質の多い土壌から地中のミネラル成分を十分に吸い上げます。熟度の
高いブドウから豊かなヴォリューム感がワインへともたらされ、ミネラル成分
も同時にワインへと移行します。地勢や地質、気象などの影響がワインへ
反映する事で、ワインの個性が生まれます。これがワインの世界で言う所の
テロワールです。
ブドウが異なればワインも異なる。造り手が異なればワインも異なる。しかし
それ以上に違いを生むのがテロワール。複数のブドウを混醸して造り上げる
ゲミシュター・サッツはそのテロワールを明確に反映したワインだとフリッツ
さんは言います。
ウィーンの街並みを一望できるヌスベルク畑に植わっているAlte Reben/
アルテ・レーベン(古木)から収穫し、厳選したブドウから造られたフリッツ
さん入魂のゲミシュター・サッツがこちらです。
この白ワインには9品種のマリアージュが奏でる深み、芳醇さ、優雅さが
あり、香り味わいが多角的に広がり、五感に染み入ります。単一品種から
のワインにはない幾重にも語り掛けて来るハーモニーを堪能できます。
注目度急上昇中、ウィーンの伝統、ゲミシュター・サッツを是非、味わって
下さい。
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Weingut Wieninger 2012 Nussberg Alte Reben Gemischter Satz
ヴァイングート・ヴィーニンガー2012ヌスベルク、アルテ・レーベン、ゲミシュター・サッツ
相性の良い料理:わずかな脂肪分を含む素材、バターやオリーヴオイル
を使用した料理。
チーズなら・・・ゴーダ。
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある、やや辛口>
5,500円(消費税別)
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今月中に若木から造ったゲミシュター・サッツ(3,000円)が入荷予定
です。