2015年4月25日土曜日

Weingut Moric/ヴァイングート・モリッツ

ヴァイングート・モリッツが所有する主要な畑を見学しましたので、いよいよ
本拠地Grosshoflein/グロースヘーフラインへと向かいます。急斜面の古木
の畑があった街はNeckenmarkt/ネッケンマルクト。この街も国境にほど近く
数キロ走るとハンガリーです。
そこはSopron/ショプロンと言うハンガリー西部の主要な都市でワイン産地
としても名高く、Kekfrankos/ケクフランコシュ(オーストリアのBlaufrankisch/
ブラウフレンキッシュと同じ品種)から造られた赤ワインが有名です。


この道の国境もかつての物々しさを連想させます。ゲートにはSOPRONの表示
があり、オーストリア語(ドイツ語と言った方が正しいのでしょうか?)に加えて、
ハンガリー語の表示があります。風景に大差はありませんから、標識の表示語
が変わっていなければ、国境通過に気付かないかもしれません。陸続きの両国
はそれくらい似ています。私達なら県境を越えても気付かなかったりする感じに
似ているのではないでしょうか。


畑を十分に見学しました。いよいよ仕上げのワイン・テイスティングです。場所は
ヴァイングート・モリッツのヘッド・オフィスです。閑静な住宅街の中にあり、外観
からだけではワイナリーとは思わないでしょう。
門を開け、中庭に入ると、初めてワイナリーなんだなと感じます。使わなくなった
醸造道具があったりすれば当然ですが、何よりワイナリーをイメージさせる香り
があり、ワイン、アルコール、ブドウ果汁を思わせる揮発的なワイナリーに特有
の香りがあるのです。この香り、感覚はどこのワイナリーにも必ず同じ様に感じ
ます。
テイスティングはブラウフレンキッシュの赤ワインを8種類計10本、オーナー兼
醸造家のRoland/ローランさんのガイドで順に行って行きます。モリッツが所有
する複数の畑の比較的若い樹齢のブラウフレンキッシュから造られたワインに
始まり、セレクションした上級のワイン、そして古木からのワイン、更には時間
の関係で見学をしなかったヘッド・オフィスに一番近い所にある畑からのブドウ
で造る最上級ワインを年代別にテイスティングしました。
ブラウフレンキッシュから造られた赤ワインの特徴は何ですか?そう問われた
なら、果実のピュアさが前面に押し出されたタイプとオーク樽で十分にボディー
を備えたタイプがあり、前者はPinot Noir/ピノ・ノワと言うブドウから造られた
赤ワインに類似し、後者はSangiovese/サンジョヴェーゼから造られたワイン
通じる香味があります。そして古木の樹から収穫されたブドウから造られると
カシスのエレガントな果実味を備え、美しいと表現したくなるほどのバランス感
に優れたワインが誕生します。この品種からのワインは醸造手法、方法の違い
により、多様なタイプのワインが誕生する事が最大の特徴かもしれません。
ワインは嗜好品ですから、いつ、どの様に飲もうが勝手なのですが、果実味と
酸味、渋味(タンニン)のバランス感を考慮すると、ブラウフレンキシュのワイン
の場合、5年~10年ほどが成長のピークなのではと思います。
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Weingut Moric/ヴァイングート・モリッツのワインは現在、日本に3種類が輸入
されていて、当店では2種類を販売しています。

*2013 Burgenland Blaufrankish
    ブルゲンラント、ブラウフレンキッシュ
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとした、コクのある料理。
チーズなら・・・ブリー。青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなフルボディー>
4,000円(消費税別)

*2011 Burgenland Blaufrankish Reserve
    ブルゲンラント、ブラウフレンキッシュ・レゼルヴェ
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとした、コクのある料理。
チーズなら・・・ブリー。青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなミディアム~フルボディー>
7,000円(消費税別)



畑にはこの様に風化し大小様々になった石灰岩が地表、地中にあり、この地
の個性をブドウへ、更にワインへと送り込んでいます。