2015年4月24日金曜日

急斜面の古木

若木よりも、ある程度の樹齢を重ねた古木から収穫されたブドウの方が
良いワインが出来ます。平坦な地勢の畑よりも、急斜面の地勢にある畑
で栽培されたブドウの方が良いワインが出来ます。それは必ずと言う事
ではありませんが、多くの場合、その様な傾向があります。
人間もそうですが、若いよりもある程度の年を重ねた方が...。と言う事に
加え、斜面ですと日射がよりストレートにブドウに当たり、日差しが弱い
場合でも、熱効率が良くなる事、そして、土中に水分が滞留しないので
樹勢に水分による過度の影響を与えない事、地表が乾燥して高湿度に
ならないのでカビ病などの発生リスクが低減する事などのメリットがある
からです。


この風景はWeingut Moric/ヴァイングート・モリッツが所有するBlaufrankish/
ブラウフレンキッシュの古木も植樹されている畑のある街、Neckenmarkt/
ネッケンマルクトの北西のハンガリー国境にほど近い所に広がっています。
別の畑があるLutzmannsburg/ルッツマンスブルクのなだらかな傾斜の大地
とは様相がかなり違います。
ルッツマンスブルクの畑の土壌とネッケンマルクトの土壌は共に風化しつつ
ある石灰岩が混じっていて、その多少に差はありますが、それ以上に地勢
が大きく異なりますので、それぞれの畑からのワインは香りも味わいも差が
でます。
ネッケンマルクトの方がより熟したベリー果実を思わせるニュアンスがあり、
口当りはふくらみがあり、果実味、渋味(タンニン)、木樽熟成由来の成分が
リッチに調和した豊かな味わいを感じます。この違いがワインの世界で言う
所のテロワール(環境の違いから生まれる個性の違い)です。


また、このネッケンマルクトの街にある畑が優れている所は、空気が絶えず
頂の方から斜面を吹き降り、東方のハンガリー国境の方へと移動していて、
斜面に水分が滞留しない事による乾燥状態の発生に合わせ、空気の移動
による乾燥状態の発生があり、健全な環境が保たれ、良質のブドウが生育
出来る所です。
畑の遥か先に風力発電の風車が立っているのがハッキリではありませんが
見えます。風が絶えず吹き、空気の移動が十分にある証拠です。

↑上の画像は南向きに広がる畑を西方面から東方面へ向いての撮影です。

↓下の画像は南向きに広がる畑を斜面の上部から下部へ向いての撮影
です。


日本には世界中から数え切れない程のワインが輸入されています。世界で
最も多種のワインが入手できる国と言われています。私達はそのワインを
飲む事で日本に居ながら世界中のワイン産地へ旅している様なものです。
しかし、実際にワインの生まれ故郷の大地を踏みしめてみると、日本ででは
見えなかったもの(それが真実)が見えて来ます。
その真実を知らずして、その真実を伝えずにお客様にワインを販売する事
に違和感を感じています。ワインの香味がどうしてそうなのか。真実を知る
なら、明確に説明できます。ワイン業界にいるのなら、真実に基づいた説明
を正確にしなくてはならない。
当店ではその義務をシッカリと果たしています。色々聞いて下さい。色々な
真実をお伝えします。