2015年4月3日金曜日

Eger/エゲルへ

ハンガリーで最も有名なワインの一つにEgri Bikaver/エグリ・ビカヴェールと言う
赤ワインがあります。この名前は16世紀に領土争いでトルコと戦ったハンガリー
の兵士の古事に因み、付けられました。
その戦いの場になったのはハンガリーの首都、Budapest/ブダペシュトから東へ
約100㎞程の所に位置する街、Eger/エゲル。この街を中心としたエリアがこの
赤ワインの誕生地です。
エゲルへは本数が少ないもののブタペシュトのKeleti Palyaudvar/東駅から乗り
換えなしで行けます。日本で言う所の各駅停車みたいな便ですので、乗っている
時間は約2時間。しかし、車窓から望める景色の雄大さ、美しさに気を取られ、
飽きる事はありません。



エゲルの街が近づくに従い、ブドウ畑が少しずつ目に入って来る様になります。
因みに、ブドウ畑の風景は雨模様に見えますが、電車の窓が汚れているので
曇って見えるだけで、実際は快晴です。


Egert Vasutallomas/エゲル駅に到着です。高い建物などなく、静寂の中にあり、
乗降客がいなければ、使われていないかの様です。この駅から徒歩で20分程
の所にあるSzepasszony Volry/美女の谷を目指します。


この美女の谷は小高い山に挟まれ、その山裾にワイン直売所が集積しています。
この日は日曜日でしたので、Pinceszet/ワイナリーは休みの為、この様な観光客
相手の場所を訪ねるしかありません。
流石にワインの街らしく、公園には記念撮影用の樽のパネルが鎮座。見上げると
ブドウ畑も見えます。しかし、本当に人がいない。ここは美女の谷の直ぐ手前です
が、ここに来るまで2人しかすれ違いませんでした。海外のワイン産地を訪問して
いつも感じる事は静かな環境の中で自然と調和し、人々は穏やかに暮らしている
のだなと言う事。意味もなく車で出かけたりなどしないのです。そんな心構えこそ
が良いワインの為の良いブドウを育む大地を守る事になるのでしょう。



美女の谷に到着です。この先、200m程ですが、この様な光景が続きます。ここも
人がいません。店が開いているのかいないのか。車がありますから店のスタッフは
来ているのでしょうが。
50店くらいはあったと思います。山裾に造られた店(ワインの試飲直売所兼セラー)
では気に入ったワインを探す為に試飲が出来ますし、見つけたお気に入りのワイン
を飲みながら食事が出来る店もあります。


ワイン産地を訪ね、造り手の直売所で試飲をし、ワインを購入するのは日本でも
普通になって来ましたが、ワイン好きにとって、これはもう最高のイヴェントです。
海外旅行で観光地を巡り、大きな街の観光土産の店で買い物をするものひとつ
の選択肢でしょうが、首都からローカルな電車に乗り数時間以内で到着する街
でその国の農作物の変化形(ワイン、ジャム、蜂蜜、塩など)に触れる事もまた
ひとつの選択肢です。今後、海外へ旅をする事があるのでしたら、たった1日で
良いのですから、時間を創って、挑戦してみて下さい。ありきたりの観光旅行と
全く違った楽しさを味わえます。

次回はEgry Var/エゲル城の話をアップします。この城こそがエグリ・ビカヴェール
の誕生の地です。