2014年5月2日金曜日

個性×個性=マリアージュ

ワインの酸味が強くて、シャープ過ぎる。人によっては酸っぱいと思うかも
しれません。ワインのタンニン(渋味)が豊かで重厚なコクを感じる。しかし
人によってはきつ過ぎると感じるかもしれません。木樽熟成から来る成分
が複雑さを醸し出している。でも、人によっては優しさがないと判断する
かもしれません。品質に問題がなくても、好みやその場の状況、一緒に
味わった料理などでワインの印象は大きく変化します。
そんな時、良い感覚を持てない、良い印象を持てないので、このワインは
ダメだと判断してしまいがちです。その思い込みを解決できるのは料理。
ワインの世界では「ワインと料理のマリアージュ」と言う表現がある様
に、同じワインでも料理と相乗する事で、全く異なるワインに変身して
しまう事があるのです。


上の画像の赤ワインはドイツ産。Spatburgunder/シュペートブルグンダー
(Pinot Noir/ピノ・ノワのドイツ語圏での別名)から造られています。この
品種から造られた赤ワインの特徴は、ジューシーで優美な酒質である事。
地球上に存在する赤ワインを品種別に語るならば、最も洗練され、上品
なワインであると言えるでしょう。
ところがこの赤ワインはお世辞にもそう表現できなく、とにかく木樽熟成
に由来するロースト香が強く、味わいのビターさが浮くほどの存在感。
困ったな。どう販売しようかなと思ってしまうレヴェル。しかし、既に書いた
様にワインは変身できるのです。
ロースト香、味わいのビターさは個性。その個性を生かしてあげれば良い
のです。同系統の個性をバッティングさせ、お互いを打ち消し合います。
その結果、心地良さが生まれ、ワインに備わっていた過剰さが幻であった
かの様になくなってしまうのです。
同系の個性を料理に持たせてあげる。食材の表面を焼いて、香ばしさを
付ける。ピノ・ノワの赤ワインですから、その食材が赤身肉ならベストです。
あなたなら何にしますか?今、旬真っ盛りのカツオは如何ですか?新鮮
なカツオが手に入ったら、わら焼きや炭火で焼いて「カツオのたたき」
を造り、この赤ワインを一緒に味わってみて下さい。



ワインと料理が合う。それがどう言う事なのか、必ず実感できます。ワイン
の個性を生かすも殺すも料理次第。ワイン専門店お勧めの「ワインと料理
のマリアージュ」をご家庭の食卓で是非、お試し下さい。
これを試す時は、たたきに醤油をつけるだけにして下さい。ネギやみょうが、
にんにく等の薬味を使うとマリアージュの効果が薄れてしまいます。
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Villa Wolf 2010 Pfalz Spatburgunder Trocken
ヴィラ・ヴォルフ2010ファルツ、シュペートブルグンダー・トロッケン
飲み頃温度:15~18度。
1,900円(消費税別)