2014年4月30日水曜日

最もアルゼンチン・ワインらしいね。

赤ワインになると、紫色の花の香りがして、インクの様に華やかで、角々しさが
全くない丸みのあるボディーをしていて、膨らむ様な渋味ある旨味が口の中を
豊かに満たす。こんな赤ワインに生まれ変わるのがMalbec/マルベックと言う
ブドウ。黒みがかった深い紫色の果皮をした、元々はフランスのボルドー地方
が主栽培地だったブドウです。
ブドウは本来の原産地から更なる他の適地へ人々の手によりもたらされます。
持ち込まれて直ぐにその地に適応したブドウもあったでしょう。長い年月を経て
少しずつ適応し、本来の原産地で育まれるブドウを凌ぐ品質のブドウになった
ものもあったはずです。
実はボルドーではもうあまりマルベックを栽培していません。フランス国内でも
ボルドー地方に隣接する産地の極僅かで主要品種として栽培されているだけ
です。マルベックと言えば、今ではアルゼンチンが本拠地と言える程です。


日本人だけど海外に行くと国内にいる時よりも生き生きとする人が時々います。
マルベックもきっとそんなブドウなのでしょう。険しいアンデス山脈の斜面、刺す
様に照り付ける日差し、雨がほとんど降らない乾き切った空気と土壌、二つの
季節が混在するかの様な昼夜の寒暖の差、こんな環境がマルベックの真価を
発揮させる環境なのです。
ワイン生産国にはその国のワインらしさを最も表現してくれるブドウが必ずあり
ます。日本なら甲州やマスカット・ベリー・エイ、アメリカならジンファンデル、チリ
ならカルメネーレと言った具合に。それがアルゼンチンならマルベックになるの
です。


マルベックは深い紫色の果皮をしていると書きました。その果皮の色素を果汁に
十分に移し、醸造すれば赤ワインになります。色素の移し方を少なくすればロゼ
ワインに、色素を全く移さなければ白ワインが出来ます。
この度、入荷して来たマルベックのワインは赤とロゼ。どちらもマルベックの特徴
である丸みとしなやかさのある酒質を明確に備え、赤ワインは華やかさと赤身肉
の料理に合いそうな香りも備え、ロゼワインは落ち着きと大地の恵みの根菜類
料理に合いそうな香りを感じます。


そんな個性を持ったワインですので、赤なら醤油とみりんで照り、コク、華やかさ
を備えたテリヤキソースで食す牛肉ハンバーグに、ロゼならごぼうと牛肉の春巻
を下味の旨味だけで食す時にお楽しみ頂けます。