この様な過程です。これをワインに当てはめると、熟成が進む前は、ハーブの
香りがしたり、酸味を感じる熟す前の果実香があります。ある程度、熟成が進む
と甘いニュアンスを伴うフルーティーさが豊かになり、更に熟成が進むと複雑さの
象徴である、大地の自然の香り、キノコや皮革を思わせる香りが現れます。
個人差がありますので、どの段階がいわゆる飲み頃か決める事は出来ません
が、酸味が硬い主張をしている時よりも、フルーティーさが華やかな方が良いと
言う方が多いと思います。
もし、様々なワインを味わっていて、その熟成段階を実感している方なら、複雑
な香味が支配して来た頃の方が飲み頃と感じるはずです。複雑な香味を備え、
落ち着き、深みを実感できるのにはどれ程の熟成時間が必要なのでしょうか?
それが日常的に味わう1,000円代のデイリー・ワインであるとしましょう。白ワイン
ならば造られてから、早いもので2年程、遅いものでも5年ほどで果実味よりも
マッシュルームなどのキノコを思わせる複雑さがより強くなります。
ロゼワインならば、白ワインと違い、多くはありませんがポリフェノール(酸化と
言う現象に対して抵抗力のある物質)を含んでいますので酸化するスピードが
弱まり、その分、熟成の進み方が緩やかになる為、5年ほどすると土、キノコ
皮革などの熟成香が支配的になるでしょう。
では、赤ワインならばどうでしょうか。ロゼワインよりもポリフェノールを多量に
含んでいますから、デイリー・ワインであっても10年近く熟成し、ようやく熟成感
を実感できる様になるワインもあります。
しかし、デイリー・ワインです。デイリー・ワインは消費する為に購入しますから、
それを5年も、10年も取っておく人はいないでしょう。発売されたその時から既に
熟成感を備えているワインでなければ、デイリー・ワインの熟成感を楽しめない
のです。
ですが、時々、あるのです。デイリー・ワインであっても、信じ難い熟成感を備えた
逸品が。そのワインが上の画像の赤ワインです。当店での販売価格は、驚きの
1,100円(消費税別)。10年程の熟成を経た香味に匹敵する味わいをしています。
複雑さ、深みは赤身肉の料理、卵料理と引き立て合う事、間違いありません。
Pinot Noir/ピノ・ノワと言う品種から造られたワインですので、酒質は重厚過ぎ
ませんから、赤身肉の料理と言っても牛肉などの動物肉よりも、間もなく旬になる
カツオなどの魚肉の料理に合わせたい味わいをしています。
そして、何故か赤ワインに合う、卵料理。卵だけでなく、ワインの酸味に合わせ、
トマトソースで酸味を加えてあげると、この赤ワインとは最良の相棒になります。
ワインの口当たりの重さと酸味、ミネラル感を考えると、醤油で食べるよりも、塩
でたたきにし、この赤ワインに相乗させると、お互いの旨味を味わい尽くせます。
こちらは動物肉を使っていますが、ひき肉ですから、それほど味わいが強くならず、
卵、酸味の効いたソースとのハーモニーがこのワインの酸味の効いたミディアム
ボディーと均衡がとれ、マリアージュします。
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Nomad 2011 Dealurile Munteniei Pinot Noir
ノマド 2011 デアルリレ・ムンテニエイ、ピノ・ノワ <ルーマニア>
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら・・・パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー> 1,100円(消費税別)