ワインと言えば、フランス、イタリア。しかし、それらの国にワインを伝えたのは
ギリシャ。そのギリシャに伝えたのはエジプト。そして、エジプトに伝えたのは
メソポタミア(今のイラク)。また、ブドウが誕生したのはコーカサス。6000年に
渡る長い長い歴史の末、世界に君臨する様になったワイン生産国がフランス
とイタリアだったのです。
一方、ブドウの誕生地やワインの発祥の地では全てではないですが、脈々と
その伝統が受け継がれ、ブドウ誕生の地であるコーカサス(現在のグルジア、
アルメニアやアゼルバイジャン)、ワイン発祥の地であるオリエントやトラキア
(現在のトルコ、ブルガリア、ルーマニア)でもフランスやイタリアに劣らない
銘醸ワインが多数造り出されています。
フランスとの関係から、18、19世紀にヨーロッパ列強国の宮廷の食卓を支配
したルーマニア・ワインでしたが、20世紀の悪名高い政権の政策により、世界
のワイン市場から消え去っていました。
悪政の終わりと共に、国際化の流れができ、また、2007年のEU加盟で国際
社会へ完全に復帰した事で、ルーマニア・ワインは再び国際マーケットへ返り
咲いたのです。天が与えたブドウ栽培の為の地だから、そこで必然的にワイン
造りが始まったのです。その地は地球が滅びない限り、ワインの為の地であり
続けるのです。
苦難の時代、紆余曲折を経て、現在の立ち位置にたどり着いたルーマニア・
ワイン、そんなワイン達の中に500年もの歴史を閉じることなく、現在も造り
続けられ、ルーマニアを代表し、世界に誇れる白ワインがあります。
その白ワインは上の画像のGrasa de Cotnari/グラサ・デ・コトナリ。一つ
上の画像、ルーマニアのワイン地図の中のMoldova/モルドヴァと言う地方
にあるコトナリで栽培されたグラサから造られたワインです。これは18、
19世紀の宮廷用ワインの主役でした。
コトナリの気候風土からグラサは貴腐ブドウになり易く、黄金色に輝く、香り
豊かでリッチな味わいの高貴な甘口ワインになります。甘口と言っても、酸
とミネラルのシャープなアクセントがあり、甘味の広がりは極めて上品。食中
でも楽しめるワインです。
黄色やオレンジ色の果肉の華やかな果実味があるワインですので、パイン
やマンゴーなどのフルーツを使った料理との相性が抜群です。
甘酢あんとパインの甘味、酸味の広がる酢豚には味わいのマリアージュが、
湯気と共に立ち昇る甘いニュアンスには香りのマリアージュも楽しめます。
そして、パインの甘味と酸味、トマトソースの酸味、ハムの塩気とワインの酸
の効いた甘味が完璧とも言えるまでのマリアージュを創造します。ピッツァ・
ハワイアンデライト、グラサの白ワインと一緒に味わって頂きたい1品です。
Balada 2009 Grasa de Cotnari
バラダ 2009 グラサ・デ・コトナリ
飲み頃温度:7度。
<軽く、爽やかな、やや甘口> 1,700円(消費税別)