メロンに生ハムが巻かれて出て来たのを初めて見た時の衝撃は大変な
ものでした。そして、次に衝撃を受けたのはハンバーガーにパイナップル
のスライスが挟んであった事。当時、ソーダ類を飲みながら食事をする
位の年齢でしたが、肉類とフルーツを一緒に口にしたらどうなるかなんて
想像すら出来ませんでしたし、食べてみろと言われても食べてみる勇気
もありませんでした。
しかし、思考も変われは、味覚の許容範囲も変わります。辛い物に甘味
のある旨味が合う事を実感し、塩辛い物に爽やかな甘味が合う事も知り
ました。生ハムにメロン、ハンバーガーにパイン、それらは決して邪道な
事、ミスマッチでなくて、究極の味覚の王道だったのです。
白ワインを造るブドウ品種にGewurztraminer/ゲヴュルツトラミネル
があります。この品種から造られたワインはその香味を一度でも身体に
取り入れたなら、その感覚を永久に忘れないとさえ言えるほどの個性を
備えています。ライチやバラの香り、口に含めば完熟した熱帯性果実の
華やかさがあります。この白ワインはパイナップルを使った料理に実に
良くマッチし、特にお勧めしたい組み合わせはデリヴァリー・ピッツァの
生ハムとパインのピッツァ(ハワイアン・デライト、店によって商品名は
様々ですが...。)です。この組み合わせは病みつきになります。一度、
挑戦してみて下さい。
生ハムの話へ戻りましょう。生ハムとメロンは塩気と甘味の組み合わせで
それだけでマリアージュします。メロン以外では、イチジク、地中海でよく
目にする赤い果肉のオレンジ、そしてルビーグレープフルーツでもとても
良くマリアージュします。但し、完熟している果実でないといけません。
果実の代わりにワインを代用したならどうでしょうか?色々と試した結果、
軽やかな酒質で優しい甘味を感じる白ワインやロゼワインが果実の代替
として相応しく、また、渋味が非常に少ないライトボディーの赤ワインでも
OKでした。しかし、もっと良い選択肢は微発泡で優しい甘味のあるワイン
です。
イタリアの赤ワインBrachetto d'Acqui/ブラケット・ダックイや白ワイン
Moscato d'Asti/モスカート・ダスティは入手し易く、合わせ楽しむのに
最適なワインです。
そして、レアものならば、こちらの赤ワインが超お勧めです。こちらも同じ
イタリア産。Sangue di Giuda/サングェ・ディ・ジウダ(ユダの血と言う
意味ですが、血を思わせる様な濃さではありません。)と言う名のワイン
です。
アルコール度数7%、わずかに発泡を感じ、ラズベリーなどの完熟した
ベリー果実やメントールの香りがあり、動物加工肉を思わせる野趣さが
わずかばかり備わり、渋味は少なく、ほんのり甘味を感じます。果実の
ピュアさが溢れる酒質はワインでありながら、まるで果実そのものの様
です。これならば果実でなくても、代替できます。
生ハムと果実の組み合わせを、ワインに変えて楽しんでみませんか?
最後に大切な事を一つ。この際の生ハムはプロシュット・ディ・パルマ
がベストです。