2013年11月16日土曜日

世界に飛翔

日本オリジナルのブドウ、甲州から造られた白ワインの快進撃が留まる
事を知りません。ヨーロッパで確固たる地位を築いたと思いきや、今度
はアジアでもその存在感を増して来ています。
ガルーダ・インドネシア航空のファースト・クラスでGrace/グレイス
でお馴染みの中央葡萄酒が造るグレイス甲州がサーヴィスされ
始めたそうです。ファースト・クラスでは最高のサーヴィスをする。これ
が基本ですから、提供されるワインはフランス、イタリアなどヨーロッパ
の伝統国、新興ながら銘醸地として定評のある産地(カリフォルニア、
オーストラリア、ニュー・ジーランドなど)から選ばれた上質のワインと
決まっていました。そこに甲州から造られたワインが参入したのです
から、甲州ワインの品質が飛躍的に向上し、それが世界に認められた
事の証明になる訳です。


甲州から造られたワインが近年、どうしてそれ程までに品質を高めた
のでしょうか?一番のポイントは甲州ブドウを生食用の為の栽培から
ワイン醸造用の為の栽培へ転換した事。
果実売り場の表示を見てみますと、この果実の糖度は13度で非常に
良く熟しています等と書かれていたりします。その糖度はワイン醸造
の観点から見ると、どの様な位置付けでしょうか?
おおよそですが、辛口ワインを造る時の果汁糖度は22度程度。1ℓ中
の果汁にある約18gの糖分がアルコール約1%になります。果汁糖度
22度とは1ℓ中に糖分が220gあると言う意味で、その全糖分を発酵
によってアルコールに変えると、アルコール度数12%程の辛口ワイン
が出来る事になるのです。
構成が豊かで、味わい深いワインの条件にはアルコールの豊かさ、
厚みがあり、辛口白ワインなら約12~13度のアルコールを備えて
いる必要があります。果汁糖度13度では、糖分を完全発酵しても、
アルコール度数7%程にしかならない訳で、それを味わっても深みの
あるワインとは言えないでしょう。
今までの甲州の栽培方法では、十分な糖度に達する事が不可能で
あった為、優れた甲州ワインが出来なかったのです。それは造り手
自身が十分に認識していた事実なのです。しかし、旧来の農業の
しきたりはワイン醸造の為の甲州ブドウの栽培を許してくれません
でした。これでは甲州から造られたワインが品質の面から評価され
多くの人に感銘を与える事は出来ません。ワインは高品質のブドウ
ワイン醸造に相応しいブドウがなければ、絶対に良質のワインが
誕生しないからです。



品種により、それぞれ相応しい仕立て方があります。また、産地
の気候風土も考慮し、仕立て方は変わります。甲州と言うブドウ
にとって、どんな仕立て方が良いのか。山形、山梨、大阪が甲州
の主な生産地ですが、どの産地にどの仕立て方が向くのか未だ
確立していません。今、ようやく甲州をワイン醸造用ブドウとして
栽培する様になったばかりですから。
そんな中、中央葡萄酒は様々な取組をし、甲州をワイン醸造用
ブドウとして、育てています。上の2つの画像がその取組です。
日本でブドウ畑と言えば、屋根の様に仕立てられ、その下に実
がなり、上を向いて収穫する光景が一般的です。もちろん、この
様な仕立て方をする産地もありますが、ワイン醸造用ブドウの
一般的な仕立て方は垣根の様に見える仕立て方や株の様に
見える仕立て方で、屋根の様に見える棚仕立てではないのです。
棚仕立てですと収量が多くなり、糖度が上がらない傾向が強く
なってしまうからです。
従来の棚仕立てでも醸造用に栽培すれば、良い甲州ワインに
なるかもしれない。いや、垣根仕立てやGDC仕立ての方が良い
かもしれない。そんな試行錯誤をしています。全て将来の甲州
ワインの品質の為に。


新たなステージに突入したグレイスの甲州ワイン、新ヴィンテージ
2012年ものが入荷して参りました。
Grace 2012 Toriibira Vineyard Koshu
グレイス2012鳥居平畑、甲州
相性の良い料理:素材の持つ優しい甘味を生かした軽やかな
           味わいの料理。
チーズなら・・・モッツァレッラ。
飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口> 2,940円
*短冊ヤマトイモの天ぷらを塩で
*アマダイのお椀
など淡く、繊細な風味の料理と一緒にお楽しみ下さい。