2013年11月15日金曜日

国際品種へのファースト・ステップ

日本で交配されたワイン用ブドウには色々な種類があります。その中
でも優れたワインを造り出すブドウとして代表的な品種に、マスカット
・ベリー・エイ/Muscat Bailey Aがあります。この品種は日本ワイン
の父とも言える川上善兵衛が私財をつぎ込んで、苦心、苦労した上で
生み出した日本オリジナルのブドウです。
マスカット・ベリー・エイから造り出されるワインは多様で、イチゴなどの
ベリー果実のジューシーなフルーツ感いっぱいの軽いボディーのもの
から、木樽を醸造熟成過程で使用した、ふくよかで渋味を明確に備え、
重厚なボディーものまであります。
そして、何れのタイプにも共通しているのは、フォキシー・フレーヴァー
(ファンタ・グレープを思わせる様な甘く、チャーミングな香り)がある事。
この香りはヨーロッパ原産のブドウから造られたワインには皆無で、
この香りがあれば、それは北米原産のブドウから造られたワインだと
断定できる印なのです。
では、なぜ、日本オリジナルのブドウから造られたワインなのに、北米
原産のブドウから造られたワインにあるその印が?それはマスカット・
ベリー・エイは2つの品種を交配して出来たブドウで、片親が北米原産
のブドウ。だから、マスカット・ベリー・エイにはフォキシー・フレーヴァー
を生成する性質があるのです。
このフォキシー・フレーヴァーは料理との接点から見ると厄介な存在。
ファンタ・グレープを思わせる香りですから。そんな香りのある食べ物
がありますか?ベリー果実のジャムなら真に同系の香りです。日本
の料理なら、本みりんで甘味と照りをシッカリつけた煮物に感じられる
香りに近いはずです。
フォキシー・フレーヴァーを備えた赤ワインには、ジャムや本みりんを
使った料理を!!これで、個性的な香味のワインも家庭の食卓で活躍
出来ます。日本オリジナルのブドウ、マスカット・ベリー・エイのワイン
を日本の典型的な家庭料理と一緒に味わい尽くしてみませんか?


2013年、マスカット・ベリー・エイは国際ブドウ・ワイン機構の品種リスト
に登録されました。このリストに登録されると、日本からの輸出の際に
その品種名を明記したラベルをボトルに添付する事を許可されます。
日本のワインであっても、何の品種から造られたワインなのか不明で
その身分が明らかにならない事態を回避できる様になった訳です。
このリストには既に日本の固有品種、甲州が登録されていて、その
結果、甲州は今、ヨーロッパで日本オリジナルの優れた白ワインと
認識され、熱狂的なファンを獲得しています。
世界各国で日本食(和食)が人気を博している近年、本みりんを使用
した料理との相性の良いマスカット・ベリー・エイの赤ワインは甲州に
劣らず、人気を博すに違いありません。
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Serena 2013 Yamanashi Muscat Bailey A
セレナ2013山梨、マスカット・ベリー・エイ
<まろやかなライトボディー>
飲み頃温度:11~14度。


サンクス・ギヴィング・デーに定番のベリー・ソース添えのターキー
サンドウィッチにもピッタリです。


こんな感じで調理して下さい。本みりんの甘味と照り、かぼちゃや
里芋の素材の持つ自然の優しい甘味とマスカット・ベリー・エイの
香味のマリアージュを堪能して頂けます。