2012年11月30日金曜日

ソトロンを感じます。


いきなり専門的な話になってしまいますが、フルーティーで軽やかな
赤ワイン造る時に、
Maceration Carbonique/マセラシオン・カルボニック
                            と言う手法を用います。
これはブドウを破砕せずに、そのまま発酵タンクに入れ、ブドウが自然
に起こす細胞内発酵により、醸造を進める造り方。この造り方で出来る
赤ワインはベリーフルーツのチャーミングな香りと共に、吟醸酒にも
感じられる発酵香(酵母が糖分を食べ、その代わりにアルコールと
共に創り出した花やキャンディーを思わせる香り)を備えます。
この発酵香は新酒の内はその様な香りなのですが、熟成が進む内に
フルーツのコンポートの様な香り、そして、夜店で売っている出来たて
のリンゴ飴の様なちょっぴり焦げ臭を感じる香りへと変化します。
これにはソトロンと言う成分が大きく関わっています。このソトロンは
私達の周りにごく普通にある食品にも含まれていて、醤油、ソース、
味噌、ウイスキー、ブランデー、マデイラ等に感じる事が出来ます。
そしてソトロンの最終的な香りは、カレー粉の香りになります。
2週間前にBeaujolais Nouveau/ボージョレ・ヌーヴォーが発売になり
既にお楽しみになった方も多いと思いますが、このヌーヴォーも
1年近く熟成させますとソトロンの香りを感じます。
なぜ、ソトロンの話題なのかと言いますと、上の画像の赤ワインに
ソトロンを感じるからなのです。プルーンのジャム、カラメルなど
少しばかり焦げたニュアンスの香ばしい香りがあるのです。この
香りを感じた時にいつも思うのは、合わせる料理を明確に勧め
ないと、ワインが台無しになってしまうと。
ワインと料理の相性の良さを決定付ける要素のひとつに香りの
同化があります。ならば、料理にもソトロンを感じなければなり
ません。しかし、ワインはマセラシオン・カルボニックから生まれた
チャーミングなフルーティーさに満ちています。酒質は軽やかです。
それらを考えるとカレーまで行ってしまってはワインがかすんで
しまいます。



そこで合わせてみたのは、たまり醤油で作った焼きおにぎり
たまり醤油自体、ふつうの濃い口醤油よりもソトロンの香りが
豊か。更に、焼く事で、ソトロンがより焦臭的になります。
果たしてワインとの接点は?予想通りです。お互いの焦臭的
なニュアンスが見事にマリアージュ。ワインの味わいも一層
豊かに広がりました。


次はソースで試してみましょう。ソースにはウスター、中濃、とんかつ
等がありますが、ワインのフルーティーさに合わせ、フルーツ感ある
中濃タイプのお好み焼きソースで試してみました。
画像の様に鉄板でソースを焦がし目に調理するのがポイントです。
ソースに元々あるフルーティーさに香ばしい焦臭的な香りが加わり
ワインの香りと一体化。醤油よりも、こちらの方が良さそうです。
しかし、出来たお好み焼きにソースを付けた場合やタコ焼きの場合
は、ソースに焦臭的さがなく、パーフェクトなマリアージュにはなり
ません。
マセラシオン・カルボニック製法で造られた赤ワインには、焦臭的
ヒントのある醤油や中濃タイプのソースを使った料理を合わせる。
これであなたのワイン・ライフは更なる広がりを見せます。
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Serena 2012 Yamanashi Muscat Bailey A
セレナ 2012 山梨マスカット・ベリー・エイ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
           チーズなら・・・パルミジャーノ。
                    チェダー。
飲み頃温度:16~18度。
<まろやかなライト~ミディアムボディー>
1,575円


秘密のケンミンSHOWに取り上げられたなら、隕石が落下したかの
様な衝撃をお茶の間に与えるに違いない程の食べ物。それは私達
の郷土、太田のごちそう、「真っ黒な焼きそば」。
通称、どろソースで炒め焼きあげたヴィジュアルは真にユニーク。
この香り豊かなソトロンを感じる焼きそばには、今日、紹介した
赤ワインがピッタリ。ワインと料理のマリージュと言っても、なかなか
ないパーフェクトなマリアージュ。それをこの焼きそばとこの赤ワイン
で創り出せます。是非、自身の五感で感じ尽くして下さい。