2012年11月25日日曜日

もうひとつの5品種のコラボレーション


アルコール飲料を造るには酵母で糖分をアルコール発酵させ
アルコールを生成させます。酵母と言うと、人工的に創り上げた
物質の様に思われがちですが、私達の周りにごく普通に存在
し、私達の生活に時に役立ち、時にちょっとしたいたずらをし、
その存在を知らしめています。
果実や木々、植物にはその天然の酵母が付着していて、特に
ブドウなどの蔓性の落葉低木には多い様な気がしています。
それは何故かと言いますと、その種の木を手入れした後に必ず
胃腸の活性が良くなり、体調不良になるからです。
そんなの偶然じゃないの?と言うかもしれませんが、これには
裏付けがあります。近年、増えつつあるSans Filtre(Non Filter)/
ろ過なしのワイン。これには発酵を促し、その役目を終えた酵母
の残骸が残留していいます。このワインをろ過済みのワインと
同量飲むとしばしば、腸が活性化します。これは酵母による作用
に他ならないとの事です。
また、別の事例ですが、ブドウをたくさん食べると同様の症状に
なります。ブドウの外皮にも多くの天然酵母が付着している事は
周知の事実です。
ですので、胃腸の弱い方は自然酵母の無意識摂取を避ける事
がベターかもしれません。無ろ過のワインはいつもより少量の
飲酒にする。ブドウは流水で過度に洗う。蔓性の植物の手入れ
には使い捨てマスクをし、作業後はシャワーを浴びる。この位の
事で酵母のいたずらを避ける事が出来るでしょう。
どうしてこんな事から今日のブログが始まったのかと言いますと
20日(火)に倉庫のツタを処理し、その夜から胃と腸の過活性
で3日間、固形物なしの生活をし、昨日、ようやく麺類を摂取、
本日は悪くはないコンディションになりましたので、こうしてPCの
前に来たのです。
私達は自然界に存在する様々な物質と共存し、生きている訳
ですが、体調の崩れ等により、その共存関係が時にバランス
を失います。そんな時に身体に攻撃が入ります。その攻撃を
和らげられる様、こんな酵母の活動も知っておいて損はない
と思い、久し振りのアップはこの様な始まりになりました。


さて、今日の本題はこちら。5品種のコラボレーション第2弾
Cabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョン、Carmenere/
カルムネーレ、Merlot/メルロ、Syrah/シラー、Pais/パイス
これら5品種から造られたチリの赤ワインです。
カベルネ・ソーヴィニョンは赤ワインを造る代表的なブドウで
深い緑の色合いの植物を思わせる香りと重厚なタンニン
(渋味)をワインにもたらします。カルムネーレはカベルネ・
ソーヴィニョンに類似していますが、香りは異なり、紫色の
花の華やかさがあります。メルロは丸く柔らかい口当たり
で牛肉を食べたくなる様な動物赤身肉を思わせる野趣さ
を感じます。シラーはブルーベリーを思わせる華やかな
フルーティーさ、ブラックペッパーを思わせるスパイシー
さ、そして口当たりはメルロの様にしなやかです。
そして最後のパイスです。このブドウは1500年代に南米
にスペインからの宣教師が上陸した際に持ち込んだ歴史
ある品種で、最初の栽培地は今のペルー。その後、チリ
同じくしてメキシコへ。更に、アルゼンチン、カリフォルニア
へと持ち込まれ、今でも栽培され続けています。
そんな長い歴史を持つパイスですが、実はワイン醸造用
の高貴品種ではないので、瓶詰めワインとして海外に
輸出する様な事はありません。事実、25年程この業界で
ビジネスをしていますが、パイス単一で造られたワインを
一度も飲んだ事はありませんし、パイスとラベルに記載
されたワインを見たのは上の画像の赤ワインが初めて
です。それも5品種のブレンドの内の1つに過ぎませんが。
では、パイスから造られた赤ワインはどの様な特徴がある
のでしょうか。様々な資料を見ても、その歴史には触れて
いますが、ワインのスタイルに言及したものは皆無です。
唯一あるのは、ワインの裏ラベルに記載されたわずかな
説明のみ。
それは、give it the sweetness and a unique touch/
ワインに可愛らしさを添え、他にはまねできない口当たり
になる、と。
残念ながら、今はこれだけです。いつかチリに行ったなら、
パイス単一で造られた赤ワインを多数テイスティングし、
パイスとはこれだ!!と言う概念を創り上げて来ます。


5品種のコラボレーションの赤ワインです。香味は非常に
良くまとまっていますが、そのまとまりの良さ故、一緒に
楽しむ料理をこれでとお勧めし難いのは事実です。
そこで、食べ物もコンビネーションで行きたいと思います。
22日はThanksgiving Day/日本は23日の勤労感謝の日。
アメリカではターキーをクランベリーソースで味わう日でも
あります。
そんなターキー料理を使いサンドウィッチにしてみました。
全粒粉のパン、ベリー果実のジャム、ソテーした薄切り
のターキー、バターorマーガリン、レタスとお好みで香味
野菜。これらの食材が一体となり創り上げた旨味を5種類
のコラボレーションのワインに合わせ味わう。こんな5対5
のコラボレーション、そのマリアージュは如何ですか?
ブレンドの目的にはお互いの良さを引き立て合う良さで
相手の欠点を補ってあげるお互いの弱さを補完し合う
など様々な組み合わせがあります。そして、パーフェクト
なブレンドで仕上がったワインはその香味が完成され、
他の何かでバランスを取る必要がない。ですから、この
様に出来上がったワインは、食べ物なしででもワインの
本質を余す所なく堪能し尽くせます。
**************************************************
Cinco 2009 Central Valley Riserva
シンコ 2009 セントラル・ヴァレー、リゼルヴァ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
           チーズなら・・・パルミジャーノ。
                    チェダー。
飲み頃温度:16~18度。
<まろやかなミディアム~フルボディー>
1,785円
5種類のブドウから出来たワイン。だから5/Cinco
(スペイン語で5、シンコ)です。