2012年10月6日土曜日
魚には白ワインと言うけれどPart2
生しらす、イカやタコ、タイやヒラメなどの白身魚には地中海沿岸
エリアで造られる木樽熟成をしていない辛口白ワインが非常に
良く合うと昨日のブログでお話しました。
それでは魚卵にはどんなワインが合うのでしょうか?まず、上の
画像のししゃもの卵やたらこの軍艦ですが、これらは地中海沿岸
エリアで造られる典型的な辛口白ワインがやはり良く合います。
但し、木樽熟成したふくよかな酒質のワインはダメです。木樽熟成
から生まれるコクが食材との力関係で釣り合わず、口中に苦味が
目立ち、生臭さが助長されてしまいます。
では、数の子、キャビア、イクラはどうでしょうか?これらを口に
すると判ると思いますが、卵の外皮にビニールぽさを感じるはず
です。このビニールぽさが問題なのです。このビニールぽさの
ある魚卵と白ワインを合わせると、ポリ袋を口に入れているのか
と勘違いするまでのビニールぽさが口中を満たします。合わない
組み合わせの最たるものです。
しかし、ワインの多様性はたいしたものです。そんなビニールぽさ
のある魚卵にも、違和感なくマリアージュ出来るワインがあるの
です。
それは、白の辛口スパークリングワイン。お手頃で最適なのは、
スペインのCava/カヴァ。Macabeo/マカベオと言うブドウを含め、
数種類のブドウから造られ、あのChampagne/シャンパーニュ
(英語発音ならシャンパン)と同じ伝統的製法で造られる本格的
なスパークリングワインです。
この原料となるマカベオがワインになると、長十郎梨のほろ苦さ
あるジューシーさを思わせる味わい、柑橘果実の内皮の苦味
を思わせる味わいがあります。そして長十郎梨の外皮や柑橘
果実の内皮にはやはりビニールぽさがあり、そのニュアンスが
口中で数の子、キャビア、イクラを噛んだ時に広がる香りに同化
するのです。
香りと香りの同化は、ワインと料理のマリアージュの為の
第1歩。
イメージはこんな感じです。外国製の香水を日本人が使うと、
その香りばかりが浮き上がり、鼻につきます。しかし、その香水
が作られた国の人が使うと、体臭と香水の香りが研究尽くされた
組み合わせの為、相乗し、チャーミングな香りを創り出します。
リンクし、同化すると、心地良い香りがあたらに生まれるから
なのです。
柑橘果実の香りがあるワインには、レモンを振りかけた料理。
ミルキーな香りがあるワインには、クリームを使った料理。
ハーブの香りがあるワインには、緑色の野菜を使った料理。
こんな感じでワインと料理を組みわせれば、大きな違和感を
感じる事はまずないと言えます。
ここで、応用編。どんな魚卵でも生で食すと以上の様な事
が言えるのですが、魚卵にひと度、火が入ると不思議と
フルーティーでない、渋味が中庸のミディアムボディーの
赤ワインに非常に良く合う様になります。これは本当に
驚くばかりのマリアージュなのです。
子持ちししゃもの焼きものにだって、焼きたらこにだって、
そして魚卵ではないですが、甘くない出汁巻き卵焼きに
だって、そんな赤ワインはピッタリです。
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☞ししゃも卵の軍艦、たらこの軍艦には、地中海沿岸エリア
の木樽熟成していない辛口白ワイン。
☞数の子のにぎり、キャビアやイクラの軍艦には、マカベオ
が原料のスペインのスパークリングワイン、カヴァ。
☞焼いた魚卵には、フルーティーでない、ミディアムボディー
の赤ワイン。
これで食の世界が更なる広がりを見せます。是非、試して
みて下さい。