2012年10月20日土曜日
油分と柚子のヒントあり
ワインはブドウから出来ているのに、ある事が信じ難い色々な香り
を備えている。ブドウが原料なのに、どうして花の香りや柑橘果実
の香り、ハーブの香りや油分(ビニールぽさ)の香りを感じるのか?
ワインの香りは原料ブドウが本来、持っている香りがそのまま移行
し、ワインに備わるもの(アロマ)。果汁中の糖分を酵母で発酵させ
アルコールを創り出す時に備わるもの(第2アロマ)。出来上がった
ワインを熟成している間に備わるもの(ブーケ)。大きく見て、この
3つから構成されている。
それら3つを創り上げているのは1,000にも上る香り。その香りが
合成され、更に様々な香りを生み出している訳。だから、ブドウに
感じられない香りがワインに備わるのです。
画像の白ワインはスペイン、Rioja/リオハの2008年産もの。この
ワインには油分と柚子を感じる香りが備わっている。白ワインを
造る時、味わいに厚みを出す為、実を圧搾し、取れた果汁にその
果皮をしばらく漬け込み、果皮に潜むエキスを果汁に移します。
これをスキンコンタクトと言い、品種により異なりますが、華やかな
香りが果汁に移ったり、油分を感じる香りと共にオイリーな味わい
を果汁にもたらしたりします。
画像の白ワインはViura/ヴィウラ種が原料で、スキンコンタクトを
してから、果汁を発酵させている為、先程の香味、油分とオイリー
さを持つワインになっています。更に、2008年に造られ、熟成を
十分にしているので、香りが重合して生まれたブーケも備え、非常
に芳醇な香味を持っています。
この様なワインには食材の香味を閉じ込める方法で調理された
料理が比較的合わせ易く、衣で閉じ込めたり、ホイルで閉じ込め
たりして作る料理を合わせると良いでしょう。
例えば、この時期、そろそろ旬は終わりつつありますが、きすの天ぷら。
キスの旨味をサクサクの衣が包み込む一品。白ワインに柑橘果実の
香りが備わっているのなら、きすの天ぷらにも柑橘果汁をひとふりし、
ワインに料理を近づけてあげましょう。
今日、紹介しています白ワインには品種由来のアロマ、柚子のヒント
がありますので、柑橘果汁の存在はより良い調和をもたらします。但し、
天ぷらは胡麻油で揚げてはいけません。なぜなら、胡麻油に通じる
香りをこの白ワインは持っていないから。
でも、天ぷらを揚げるにはどうしても胡麻油も使いたい。そんな方には
胡麻油にマリアージュするワインもありますので、リクエストして下さい。
天ぷらでなくても、皮目をほんのり焦がした白身魚の焼きものにも、
今日の白ワインでOKです。画像の様な焼き加減の白身魚の皮には
やはりビニール(熱した油分)に通じる香りがあります。胡麻油以外
で揚げた天ぷらの衣の香りに類似しています。なので、この料理も
今日の白ワインに合うのです。
柑橘果汁をひとふりし、味わう料理は是非、塩味で調理しましょう。
柑橘果実と塩、白ワインのミネラル成分が実に良く香味をまとめて
くれます。
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Marques de Caceres 2008 Rioja
マルケス・デ・カセレス 2008 リオハ
相性の良い料理:柑橘類の酸味や青みの薬味、ハーブが良く合う
淡白な味わいの料理。
チーズなら・・・シェーヴル(山羊乳)タイプ。
飲み頃温度:6~8度。
<軽く、爽やかな辛口>
375ml ¥735