2012年10月19日金曜日

ワインは農作物だと再認識する時


目にした方もいらっしゃるでしょうが、Beaujolais Nouveau/ボージョレ・
ヌーヴォーが収穫量の減少による生産量の激減で、販売価格の
見直しを検討している模様。需要と供給の関係で価格が決まるのは
当然と言えば当然なのですが...。
この業界で飯を食わせてもらって24年。ワインの販売価格の変動は
ありましたが、ヌーヴォーに関しては経験がありません。ヌーヴォー
は、この日本での話ですが、原料ブドウが収穫される前に輸入元
から取り扱い商品の案内が来て、それを店のお客様に告知し、予約
販売をするのが通例。その際、予め決められた小売価格に相当する
前金を予約金として預かります。その時点では、ヌーヴォーと言う
商品は出来ていませんので、提示する小売価格はあくまでも予価
ですし、ヌーヴォーの案内パンフレットには価格の変更の可能性が
ありますと明記してあります。ですので、今回の様な事態が生じた
場合には、その深刻さにより、価格の見直しをしても良いのですが、
実際問題として、お客様側に立てば、価格の見直し?そんな事、
聞いてないよ、となるでしょう。予約金を預かり、販売する商品が
引き起こす欠点の最たるものです。
ヌーヴォーと言う商品は元来、造り手は別にして、販売業者には
あまり利益が出ないもの。ヌーヴォーを扱って、利益を手にして
いるのは、航空会社と損害保険会社だけと言われています。
私が輸入元にいた時には、輸入会社は1本100円の利益、卸では
200円の利益、小売では300円の利益、飲食店では500円の利益
が見込める。こんな感じでした。
今回、価格見直しが生じた場合、実際にその変更分を小売価格
に反映させるとは思えません。輸入元の段階で吸収する筈です。
昔の話ですが、たった100円しか利益がないのに、更に利益を
減少させる事になります。しかし、ヌーヴォーと言う商品は他の
ワインと違い、利益を求める商品でなく、販売が認められる11月
第3木曜日以降のワイン最需要期に向けての購入刺激材と考え
広告商品としての位置付けである為、例え利益が少なくても、
利益が出なくても、1976年の初輸入以来、途切れる事なく、日本
では販売され続けているのです。



販売OKの11月第3木曜日まで、1カ月を切りました。果たしてどんな
事態になるのでしょうか?販売価格の事は非常に心配ですが、自然
減少によるブドウの良質化はワインには好影響。現地からの報告に
よりますと、ベリー系果実の溢れんばかりの香り、ジューシーさに
満ち、完成度の高いハーモニーを楽しめる酒質に仕上がるとの事。
待ち遠しいです。
自然に翻弄されても、良質のワインが出来る事もありますし、そうで
ない事もあります。これら全てを受け入れると、ワインは農作物、
ワインはブドウが全て、ワインはワイナリーでなく畑で出来ている。
そう思える様になります。
今はただ、自然の恵みが無事に日本に到着するのを待ちましょう。
そして、無事に到着した際には、2012年の自然が造り上げた恵み
を有り難く頂きましょう。それまで、今しばらくお待ち下さい。
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当店では2012年産新ワインを下記の予定で販売致します。
10月30日販売開始予定
イタリア産新ワイン、Novello/ノヴェッロ:赤1種類 
2,100円
11月第3木曜日販売開始予定
フランス産新ワイン、Nouveau/ヌーヴォー:赤3種類
1,575円、2,625円、3,150円
当店では不測の事態で未入荷の際のトラブル回避の為、予約
は承らず、お客様に販売しています。購入希望のお客様は、
販売開始予定日から数日以内にご来店、お買い求め下さい。