日本各地に様々な郷土料理がある。もちろん、ここ群馬にもそれぞれの
エリアにそこに根付いた食べ物がある。しかし、群馬県全域でこよなく
愛されている他県には恐らくないであろう食べ物もある。それが画像の
焼きまんじゅう。普通は何も入っていないまんじゅうを串に刺し、焼き、
更に各店秘伝の味噌だれを付けて、香ばしく焼きあげる。
これがなかなかいける。食事としてでも、おやつとしてでも。今日はこの
焼きまんじゅうにワインを合わせてしまおうと言うわけ。そこで、まずは
焼きまんじゅうの風味をチェック。醸造して出来た味噌や醤油には、熟成
段階で生まれる焦臭的な香りを生むソトロンが含まれる。このソトロンは
基本的に経時変化で成分が重合する事で生まれる。カラメル様の香り
が代表的。それが重合度合いを増すと火で熱した醤油やソースが放つ
香り、更にはカレー粉の様な香りへと進む。
熟成したワインにもソトロンを感じる事が多々ある。それが最も感じ易い
のがワインを蒸留したブランデーを添加し、香味を整え、保存性を高めた
酒精強化ワイン(Fortified Wine/フォーティファイド・ワイン)。通常、この
種のワインは、緩やかな酸化還元熟成の下、長期の熟成を経てからで
ないと商品化されない。その為、生成されたソトロンを含んでいるのです。
もともとソトロンを感じる味噌が焼かれる事で更にソトロンが明確化し、
カラメル様の甘いニュアンスの香味を放つ。一方、熟成期間の長い酒精
強化したワインにも、同様の香りがある。だから、この両者は反発し合わ
ない。
ここにフォーティファイド・ワインの中のひとつ、イタリアのシチリア島
で造られるMarsala/マルサラがある。このワインの大半は白ブドウ
から造られた白ワインが長期熟成によってコハク色になったもの。
ただ、少数ながら黒ブドウから造られたRubino/ルビーノ(赤ワイン)
もある。
このルビーノは同じフォーティファイド・ワインの赤、Port/ポートより
も軽やかで、渋味成分が少ない。その重厚過ぎない所が、重厚な
味わいをした料理や濃厚な味わいをした菓子を必要としない。
例えば、ポートに合わせ料理を楽しむのなら、ビーフ・シチュー
やすき焼きが良いし、芳醇なチョコレート菓子が良いが、ルビーノ
なら味噌カツやミルクチョコの菓子くらいの味わいの方がワインの
香味が削がれない。
深い味わいのものには深い味わいのものを。中庸の味わいのもの
には中庸の味わいのものを。軽い味わいのものには軽い味わいの
ものを。そうすればお互いの良さが相乗し、引き立て合うのです。
様々なワインをテイスティングしていると、それに合わせ楽しみたい
食べ物が続々と頭に浮かびます。ワインの多様性は、食べ物との
多様な組み合わせの良さを生み出します。この世の食べ物には
必ず一緒に味わい楽しめるワインがあります。ですから、初めから
決め付けず、先ずは試して下さい。
焼きまんじゅうとマルサラ・ルビーノ、きっと両者は良き相棒です。
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Pellegrino Marsala Rubino
ペッレグリーノ、マルサラ・ルビーノ<イタリア、シチリア島>
相性の良い料理:素材の自然の甘味を生かした料理。
フルーツを使用した菓子。
チーズなら・・・クリームチーズ。
飲み頃温度:12~16度。
<まろやかなミディアムボディー、わずかに甘口>
1,785円
口に入れた時にヒンヤリと感じる位に冷やしてお楽しみ下さい。