2012年7月6日金曜日

マリアージュ、無限の可能性


食の知識を広げる為に、欠かさず見ているTV番組がある。それは木曜の
夜9時から始まる「秘密のケンミンSHOW」。その地のローカル・フードに
焦点を当て、秘密の食べ物のネタばらしをする趣向。これがなかなか興味
深く、かつ、日々の食生活への参考になる。
昨夜は沖縄のモーイ豆腐(画像上)と神戸のそば焼き(画像下)。時には
見ただけで口にするのをためらってしまう食べ物も登場するが、昨夜の
秘密は見ていて、自分でも食べてみたかったし、あのワインと合わせれば
もっとその物を味わい尽くせるのでは、などど思ってしまった。


それでは、それぞれにどんなワインを合わせたら良いだろか?先ず料理
の原材料に注目すると良いかもしれない。
モーイ豆腐は、モーイと言う海藻、ツナをカツオ出汁と醤油、塩で炊き、
煮固めている。外観から想像すると、それは恐らく、天気の良い日の磯を
思わせる香りが漂い、口にすればその風味とカツオとマグロの旨味成分
がシットリと広がる深みある味わいをしているに違いない。
そこでワインは磯の香り(ヨード香)を持ち、なおかつ、醸造、熟成過程での
オートリゼーションからの旨味を持つワインが合いそう。そして、モーイ豆腐
の色調に合わせ、赤やロゼでなく、間違いなく白ワインがベストな選択。
具体的には、Sur Lie/シュール・リーと言う製法で旨味成分を備えたワイン、
フランス、ロワール地方のMuscadet Sevre et Maine Sur Lie/ミュスカデ・
セーヴル・エ・メーヌ・シュール・リーが第一候補。やや香りの同化が少ない
甲州シュール・リーも良いかもしれない。また、コンポート系の香りのない
ドライなタイプのChenin Blanc/シュナン・ブランの辛口も劣らずマリアージュ
すると思う。
それではそば焼きはどうか。こちらはそばはそばでも、日本蕎麦を材料に
すき焼きの割り下で味付け、炒め焼いている。ワインに合わせるポイントは
蕎麦の大地を思わせる香り、割り下の醤油が煮詰まった風味に同化させる
事が出来るか否か。そば焼きの色合いは白やロゼでなく、真に赤ワインが
合う事を物語っているかの様子。が、普通の焼きそばの様にソースの香味
がないのでフルーツ感の多いタイプやスパイシーなタイプの赤ワインでは
ない方がベターに違いない。
具体的には熟成感のあるスペインのTempranillo/テンプラニージョ
イタリアのSangiovese/サンジョヴェーゼの複雑な香味の赤ワインが
第一候補。Merlot/メルロ100%で造ったもの良いと思う。いずれに
しても、フルーティーさが控えめで、熟成により大地を思わせる香りを
備え、醤油が煮詰まった香味(ソトロン)に通じる熟成香(ブーケ)を
持っていればパーフェクト。
昨夜、カミング・アウトされたばかりの未知の食べ物ゆえ、以上の考察
はあくまでも今までの経験に基づくもの。近いうちに実際に試し、その
真偽を確認したいと思います。ワインと料理のマリアージュは無限大
白ワインもロゼワインも赤ワインもあり、その香味のヴァリエーション
の多様性はどんな料理にだって、合うワインが必ずあります。そんな
マリアージュ探しの日々は、食べる為に生きている限り、決して終わる
はありません