2012年6月18日月曜日
赤ワイン編
白ワインのタイプの違いは品種によるよりも、出来上がる過程の違い
による所が大きい。が、赤ワインの場合、その違いは原料ブドウの違い
による所が大きいのです。
それは赤ワインの最大の要素である、渋味成分(タンニンや赤ワイン
の色である色素)の構成比率が原料ブドウによってほぼ決定されて
いるから。果皮の色合いの濃いブドウには渋味成分が多く、果皮の
色が薄い(黒みの強くない)ブドウには渋味成分が少ない。
赤ワインを造るには色付いていない果汁に果皮を漬け込み、その色素
を果汁に移し、赤くする。果皮の色の濃いブドウからは少しだけ漬けれ
ば、色の薄い赤ワインが出来、長く漬ければ色の濃い赤ワインが出来る。
果皮の色の薄いブドウでは、長く漬けこんでも、もともと色素が少ない
ので、果汁に移る量は限られ、濃い赤ワインにならない。
ここでお判りの方もいるでしょうが、赤ワインを造る為のブドウを黒ブドウ
と言い、果汁に果皮を漬けなければ、果汁は白なので白ワインになり、
ピンク色に色付いた所で果皮を取り出してしまえば、ロゼワインに、長く
漬ければ赤ワインになる訳なのです。
画像は赤ワインの経時変化による外観の違い。赤ワインは出来て間も
ない時は紫色の色調を感じ、やがて紫色がなくなり、赤(ルビー色)に
なり、更に熟成すると茶色を帯び、最終的にはウーロン茶様の色調と
なります。
香りは、スミレ、ラベンダー、ブルーベリーなどを思わせる華やかさ→
熟した苺、アメリカンチェリーなど思わせる穏やかさ→シナモンなどの
スパイスやきのこを思わせる複雑さ→ドライフラワーや雨後の森林
を思わせる香りへと移ろい変わります。
これはまるで植物の生育サイクル。花が咲き、実がなり、熟し、枯れ
落ち、土に帰る。ワインもフルーティーさが、より熟したフルーティー
さへ、フルーティーさが減り、ドライフルーツぽさへ、そして、土ぽさ
へと言う具合。そんな香りの移ろいを考えると、合わせると良い料理
のヒントが見えてきます。
フルーティーさに満ちている紫色の色調の見える左の赤ワインには、
餡かけ料理や照り焼きソースをかける料理、フルーツの香り豊かな
焼き肉のタレで食べる料理を。
紫色の色調が消え、スパイスやきのこを思わせる香りの赤ワイン
には、きのこ、根菜類など大地を感じる食材を使った料理を。そして
フルーツ感が控えめになった赤ワインには魚、肉に関係なく、赤身
の血合いを感じる部位を使った料理に合わせ易くなります。
また、右から2番目のルビー色まで熟成した赤ワインはその香味の
穏やかさ、熟成によって生成された熟成香が醤油の持つ香りと
共通項がある為、醤油で煮炊きする日本の家庭料理とは抜群の
マリアージュを見せてくれます。肉じゃが、きんぴらごぼう、まぐろ
や豚の角煮、魚や鳥肉の照り焼きなど。
ワインには特別な料理がいつも必要な訳ではありません。ワインの
タイプに合わせ、極々一般的な純和風家庭料理とでも一緒に合わせ
楽しめます。
当店にいらっしゃる際には、是非、食べる料理を決めて来て下さい。
それに合わせ、ピッタリのワインを選び、お勧め致します。