2012年6月14日木曜日

楽しくワインライフを過ごしたい


アレルギーを起こす可能性のある物質のラベル表示について、EUがWTOに案を通知
Un reglement sur l’étiquetage des composés potentiellement allergéniques dans les vins notifié

 à l’OMC par l’Union Européenne(OIV)
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EUは5月25日付で、WTOのTBT委員会(貿易の技術的障壁に関する委員会)に対し、委員会規則

CE 607/2009号の修正案を通知した。これはAOP、IGP、欧州の伝統的表示のワインのラベル表示
に関する規則で、ワインの醸造過程(清澄作業)で、アレルギーを起こす可能性のある物質、特に
卵由来のもの(リソチーム、アルブミンなど)や牛乳由来のもの(カゼインなど)を使用した場合は、
表示を義務付けるものである。

表示はOIV(世界ぶどう・ぶどう酒機構)がEU規則に即して採用している方法に基いて検出された

場合に義務とされる。OIVが採用している基準は、エリザ法での検査で、当該物質の含有量が、
1リットルあたり0.25mgを超えた場合である。

ラベルでは以下の記述が認められる。
a) 亜硫酸: «sulfites» または«anhydride sulfureux»
b) 牛乳または牛乳由来の製品: «lait», «produits du lait», «caséine du lait» «protéine du lait»
c) 卵または卵由来の製品: «œuf», «protéine de l'œuf», «produit de l'œuf», «lysozyme de l'œuf »

または «albumine de l'œuf».

さらに上記の記述は、場合により絵表示も掲載できることを規定している。
なお絵表示は
こちらでご覧ください。

当該規則は、2012年以降に収穫されたぶどうをすべて、または一部使用したワインに適用される。
また2012年6月30日より後にラベルを貼付されたワインに適用される。

*なお、現段階ではまだドラフト(素案)の段階で、TBT委員会で、基準や規則が販売上の障壁に

ならないかどうかの検討が行われ、TBT委員会からの修正要望などを織り込んだ上で、正式な
規則として発令される。

(OIV プレスリリース、5/30; Vitisphere,6/6)

<補足説明>
EUの欧州委員会は2007年に、アレルギーを引き起こす可能性のある物質を使用した場合にラベル

に表記することを決定した。しかしワインへの適用は、2012年6月30日まで特例として免除されていた。
この間、OIVは、醸造の清澄剤として使われるカゼイン(牛乳のタンパク質)やオボアルブミン(卵白
は、その後の澱引き作業により、最終製品に検出される量は微量である旨の報告書を2010年に提出
していた。

しかしEFSA(欧州食品安全機関)は、2011年10月、「オブアルブミンやカゼインで清澄されたワインは、

敏感な人にはネガティブな反応を引き起こす可能性がある。リソチームについても同様である」として、
特例期間の延長に反対の意見を提出した。このため、特例期間の延長は難しいと見られていた。

多くの生産者は、アレルギーと関連のない、植物性のタンパク質を利用した清澄剤に注目している。

(Vitisphere,2012/2/3;la france agricole,2011/10/17)


この様な発表がありました。事実、ワインでアレルギー反応を示す人がいます
ので、大切な決断をしたなと感じています。
ワインの香りを嗅いで、鼻に異常が出る人は、文中にある亜硫酸(ワインを安定
させ、熟成させる為に欠かせない保存料)に反応している可能性があります。
また、ワインを口に含むと顔や身体が瞬時に赤く、腫れぼったい感じになって
しまう人も同様です。
保存料である亜硫酸はワインのタイプにより、使用できる上限があります。です
ので、亜硫酸に反応し易い人は、含有量の少ないワインを楽しむ様にすると良い
でしょう。
亜硫酸の使用量の上限は、以下の様になります。
白ワインロゼワイン
残留糖分が1ℓ中に5g未満しかない場合は、210mg
残留糖分が1ℓ中に5g以上ある場合は、260mg
赤ワイン
残留糖分が1ℓ中に5g未満しかない場合は、160mg
残留糖分が1ℓ中に5g以上ある場合は、210mg
スパークリングワインは色に関係なく、185mg
含有量は赤ワインの方が少なく、また、甘くなるほど、多く含有しています。亜硫酸
に反応し易い人は、甘口ワインを避けた方がベターです。
私は亜硫酸の含有量の多いワインを数杯飲むと、全身にかゆみを強く感じます。
その為、甘口ワインをたくさん飲む事を避けています。

また、とても重要なことですが、ナッツ類、豆類、ゴマにアレルギーのある方。実
は私はこれらに重症のアレルギーがあるのですが、ワインの発酵、熟成に使用
する木樽がそれらの物質と同様のアレルギーを引き起こします。
全ての木樽でなく、アメリカン・オークで出来た木樽の場合です。アメリカン・オーク
の成分がそれらの物質に共通する成分を含んでいる様なのです。事実、アメリカン
オークを製造過程に使用したワインには、ココナッツの香りがあり、口当たりは粘性
を感じ、ピーナッツ・バターの雰囲気もあります。同じ系統の香りがあると言う事は
間違いなく、同じ成分を含んでいるはずです。
ですから、アメリカン・オーク使用のワインを避けるべきですし、私はテイスティング
はしますが、日常生活に於いて、飲まない様に気をつけています。このアメリカン
オークを使用するワイン生産国は例外もありますが、ほぼ決まっていますので、
購入する際、レストランで注文する際に確認をする様にしましょう。
アメリカン・オークを製造過程に使用する事のある国
アメリカ、メキシコ、チリ、アルゼンチン、ブラジルなどのアメリカ大陸の国々
オーストラリア
スペイン

危険を回避しつつ、楽しめば問題はありません。毎日、1本、必ず夕食時に楽しみ
続けている私ですが、自分のアレルギーを引き起こす物質を取らない事で、多く
含有されているワインを避ける事で、食事もワインも楽しみ続けています。
当店では、アレルギーの方の為にワインの楽しみ方をアドヴァイスしつつ、最適
な1本をお選び致します。アレルギー体質の方は是非、その旨を伝えて下さい。