2012年4月29日日曜日

このボトルはOO/280です。


日本酒は農作物と言う考えを持っている人が一体、どの位いるのか?
恐らく、工業製品と言う捉え方をしている人の方が多いだろう。なぜ、
そう思うのか?それはあまりにも原料米の主張を無視しているから。
穀物や果実は外皮(果皮)と実(果肉)の接点に多くの個性が潜んで
いる。だから、ワインの場合、原料ブドウを果汁に漬け込み、その個性
を果汁に移し、その果汁を発酵させ、ワインに仕立てる。
では、日本酒はどうか?本醸造酒なら精米歩合70%以下、吟醸酒なら
60%以下、大吟醸酒なら50%以下と規定されている。米の個性が潜む
部分を削ぎ落としてしまっている訳。だから、原料米による違いが明確
に出ない。ワイン・テイスティングの様にブラインドで品種を当てる様な
事を日本酒では出来ない。
何か勘違いしてはいないだろうか?精米歩合の高さを競い合い、米の
主張を無視し、人間のエゴで日本酒を造ってはいないか。そう感じて
ならない。大吟醸には精米歩合40%以下の酒もある。そんな日本酒
を飲んでも深みがない。そしてどれも大差なく、無個性。米を無駄に
しない日本酒造り、工業製品ではなく、農作物の変化形商品造りに
回帰しませんか?


画像の日本酒は地元、太田市の今井酒造店が10年ぶりくらい、本当に
久し振りに発売した純米大吟醸酒。規定ぎりぎりの精米歩合50%の酒米
を原料に造り、あらばしり(もろみから最初に滴り落ちる日本酒)を無ろ過
化粧(活性炭での成分調整)なしで瓶詰めした280本のみの限定品。
香りは穏やか、味わいは骨太なミネラル感を感じ、日本酒度は+1ながら
それ以上に辛さを感じる味吟醸酒。食中酒で違和感なく楽しめる香味が
備わっています。
日本酒はワインとは違います。日本酒業界の人で吟醸酒の事を消費者に
ワイン風ですなどと説明している人がいますが、そんな考えを持っている
なんて、恥ずかしいですね。発酵で生まれるフルーツや花の香りを人工的
に日本酒に取り込む(付け香)なんて事をしたりするからそんな愚かな思考
の人が誕生してしまうのです。
日本酒、その始まりは畑から。その事をもう一度、認識し、農作物である
日本酒の存在意義を考え直しましょう。そうすれば、原料米による違い、
造り手による違い、産地による違いを感じられる本物の日本酒が誕生する
でしょう。それは日本酒の将来に明るい光を射します。
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風まかせ純米大吟醸酒720ミリリットル
飲み頃温度:10~12度。
<清楚な香りと軽快でなめらかな味わいの辛口>
3,675円
味吟醸酒ですので、刺身などの生ものとでも違和感なく楽しめます
表ラベルに通し番号OOO/280が表記してあります。