2011年12月18日日曜日

ワインは生産国ではなく、造り手です。


フランス、イタリアなら素晴らしいワインがある。そう思う人は恐らく多い
はず。果たしてそうだろうか。違う言い方をしてみよう。佐野ラーメンは
有名だが、どの店で食べるかで善し悪しの感じ方は変わる。つまり、
名は通っていても、その名称を使う造り手が複数いれば、必ず差が
出る。誰が造ったかが問題。ワインも同じ。
有名な生産国や産地が決めてなのではなく、その場所の中にあろうと、
なかろうと、誰が造っているかがその品質を決定する。意外な国、無名
の産地にも素晴らしいワイン、感動を与えてくれるワインはあるのだ。
当店ではワインの品質そのものを重視。フランスやイタリアでなくても
一切関係ない。
そんな選択をしていて見つけ出したワインのひとつがインドのSula
Vineyards/スラ・ヴィンヤーズ。パリのワイン専門店にワインを買いに
行った時、偶然見つけた。早速、購入し、ホテルの部屋でテイスティング
してみた。品種の個性が明確に感じられ、果実のピュアさが美しく広がる
逸品だった。その時はパリに数日、滞在していた為、毎日、スラを購入し、
テイスティングした。いずれも素晴らしく、しかも価格が手頃。日本にも
輸出しないかなぁと思ったものだった。
それから数年、東京にある輸入元が遂に輸入ライセンスを獲得し、スラ
が日本にやって来る機会を得た。来日を長い事、待ち続けていたワイン
だったので、それ以来、国内在庫がある限り、仕入れ、販売し続けている。
そのスラ・ヴィンヤーズの赤ワイン最上級レンジのRasa/ラサが到着した。
この赤ワインはShiraz(Syrah)/シラーズ(シラー)から出来ていて、この
品種はフランスのローヌ地方が原産。その地にこの品種から造られる
銘醸ワイン、Hermitage/エルミタージュやCote Rotie/コート・ロティなど
があり、ラサはそれらに匹敵すると言われている。テイスティングした
限りでは、その意見に全く同感。エルミタージュとコート・ロティでは微妙
に酒質が異なるが、以前、販売した2007はコート・ロティに、今回、到着
した2010はエルミタージュに極似している。
シラーから出来たワインの典型的特徴、香りはインクの様に華やかで、
紫色の果実や花、目の覚める様なスパイシーなブラック・ペッパー、木樽
熟成からもたらされたモカを思わせる香り、それらの奥に今の季節に旬
を迎えるジビエを思わせる複雑さがある。味わいはキメの細かいタンニン
(渋味)は口中一杯に広がり、果実味と調和し、上品な旨味を生み出して
いる。何もとがらない、何も不足しない。甘味、酸味、苦味、渋味の優美
なハーモニーを楽しめる。流石だと感心せずにはいられない出来。
昨日、紹介したワインと同じスタイルながら、こちらはハーブ香がないので
すき焼きと一緒に楽しむのなら、春菊は入れない。鰻の蒲焼なら山椒は
控えめが良い。
造り手重視で選び抜いたエクセレントな品質のインド産赤ワインを是非、
身体温まる料理と一緒にお楽しみ下さい。
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Rasa 2010 Nashik Shiraz
ラサ2010ナシク、シラーズ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
飲み頃温度:16~18度。
<まろやかなミディアム~フルボディー>
3,150円
ハッシュドビーフ、ビーフシチューにクリームを添えて、このワインと一緒に
お楽しみ下さい。