2011年11月10日木曜日
ちょっとした事だけど
ようやく冷え込んで来ました。カキのシーズン到来です。魚介の生モノに
ワインを合わせるのはなかなかタフな作業。ワインが勝ち過ぎると魚介
の折角の潮の風味を削いでしまうし、ワインが合わないと生臭さを増大
させてしまう。
だからなのか。良く耳にする事。魚介の生モノにはワインは合わないよ。
刺身には日本酒さ。これ、確かに一理ある。日本酒はアルコール度数
が高い。もう少し言えば、本醸造造りはアルコールを添加しているので
アルコールのアタックがシャープ。そのアルコールの作用で生モノを
食べた時の口中の生臭みを洗い流す。結果、口中がサッパリする。
生モノに合うのではなく、消しているのだ。その為、どんな魚介の生モノ
を食べて、日本酒を飲んでも程度の差はあるが、不快感を感じない。
しかし、ワインではそう簡単には行かない。
ワインはブドウが原料。基本的にはブドウ由来の酸味を基調にした飲料。
その酸味に着目し、料理に合わせてあげると上手くマリアージュする。
生カキを食べながらワインを楽しむ。色々な食べ方があるだろうが、カキ
の味わいを生かしつつ、パーフェクトに近いマリアージュを実感するには、
さあ、どうする?
お勧めな食べ方。何も手を加えていない生カキにレモンを用意。食べる
直前に生カキにレモンを数滴かけるだけ。あとはキリリと冷えた白ワイン。
でも、白ワインなら何でも良い訳ではありません。木樽発酵してあったり、
木樽熟成してあるワインはダメ。甘口もダメ。OKなのは、リンゴ酸が豊富
で柑橘果実の香りのするシャープな口当たりの辛口。Sauvignon Blanc/
ソーヴィニョン・ブラン、Riesling/リースリングから造られたワインなら最適。
他に、スペインのRias Baixas/リアス・バイシャス、ポルトガルのVinho Verde/
ヴィーニョ・ヴェルデ、フランスのMuscadet Sevre et Maine/ミュスカデ・
セーヴル・エ・メーヌやGros Plants du Pays Nantais/グロ・プラン・デュ・ペイ・
ナンテ、イタリアのGavi/ガヴィなどもOK。
生カキにかけたレモンの爽やかさとワインの香りのハーモニー、生カキの
磯のすがすがしい香りとワインの豊かなミネラル感のハーモニーが全く
生臭みを増大させず、逆に浜辺で感じる心地良さを身体に広げてくれる。
この様な酒質の辛口白ワインを楽しむ時には、柑橘果実のアクセントを
料理に添えるだけで最高のマリアージュを見せてくれるのだ。
そして、生カキにワインを合わせる以上にタフなのは、イカの塩辛にワイン
を合わせる事。恐らく、こちらの組み合わせの方が日本酒だろ、と言われ
そうだが。
昨晩、確信した事。イカの塩辛をワインにより良くマリアージュさせる方法。
イカの塩辛を作る。あるいは、鮮度の高いイカの塩辛を購入する。そこに
ひと手間加える。ゆずの外皮を薄くむき、それを細かく千切りにする。塩辛
を小鉢に一人分盛り付け、そこにゆずの千切りをひとつまみかけ、塩辛と
軽く混ぜる。ラップをして一晩、冷蔵庫に保管。翌日にはほのかにゆずの
香りが漂う、上品な風味のイカの塩辛の出来上がり。
この様にしたイカの塩辛と先ほど、生カキに合わせ楽しむと良いと勧めた
辛口白ワインが信じられない位、素晴らしいマリアージュを奏でる。柑橘
果実のちょっとのアクセントが世界を激変させる。
料理とワインが合わなかったら、何か足りないのだ。その足りないものを
思考錯誤し、自分なりに見つけ出してみるのがまた面白い。