一卵性双生児の子供は、成長するにつれ人格が形成され、
それぞれの個性を身に付け、発揮し、違いを明確化して行く。
実はワインの世界にもこの様な現象が起こる。同じ畑の同じ
ブドウで造られたワインが瓶に詰められ、コルクをされたその
瞬間から、同じ造り手、同じAOC、同じ収穫年、同じ形状の
ボトルであっても、それぞれのワインがそれぞれの道をそれ
ぞれのペースで歩み始める。それは、この世の中に2つとして
同じコルクが存在しないから。
昨夜、2006年、同じ造り手のChablis/シャブリ375mlを2本
同時に抜栓し、テイスティングしてみた。写真のコルクがその
2本のもの。片方は側面に鏡面にも亀裂、凹凸がなく、細かい
やすりで仕上げた様に綺麗。片や、側面に繊維質の亀裂が
いくつか存在し、弾力が低め。
前者のコルクのワインは白桃、ラ・フランスのコンポートの
香り、黄色い花のフローラルさが美しく広がり、果実のピュア
さを主体に、リンゴ酸とミネラルの骨太なハーモニーが快適
な酒質。後者のコルクのワインは果実味が低く、フリンティー、
生アーモンドのヒントがあり、少し還元的な味わい。コルク臭
ではないが、ビターなニュアンスが少しある。誰にでも把握し
易い程、違いがある。
現代の消費者のワインの好みに果実味の豊かさが必須と
なっている。ならば、前者のコルクのワインの方が、大多数
の消費者に支持されるであろう。天然のコルクを使用して
いる限り、この様なボトル・ヴァリエーションを防ぐ事は不可能。
ならば、ボトル・ヴァリエーションを回避できる栓を使用する
必要がある。1番の解決策はスクリューキャップの使用。でも、
この日本ではスクリューキャップが極めて悪評。なぜか?
スクリューキャップの導入時に極めて低価格の、そして品質
そこそこのワインに使った為、イメージが悪い。
ワインをファッション感覚でとらえていて、コルクを抜く儀式に
酔いしれる機会がなくなる。
大きな理由はこんなところか。でも、ワインは飲むものなの
だから、品質に悪影響をもたらす要素を排除し、醸造家が
造り上げたままの素晴らしい状態を劣化していない状態で
味わえる方が大切なのではないか。
当店では、スクリューキャップ使用のメリットをシッカリ理解し、
現状ではデイリー・ワインにとってスクリューキャップ以上の
良い栓は存在していないと考え、スクリューキャップの高品質
ワインを多数取り揃え、お客様に楽しんで頂いています。