昨夜、味わったChateau Mouton Rothschild 1979/シャトー・ムートン・
ロートシルト1979年。
液漏れにより、液面はローショルダー。清澄度は極めて低く、黒く濁った
様子をボトルを通して確認出来た。そして、実際に注いだワインは下の
写真の通り。コーヒーリキュールの様子。誰もが飲めないだろうと予想
する程の外観。
見た目と中身が相違することは良くある。しかし、ワインの世界では
昨夜の様な奇跡に近い相違は、まずあり得ない。そう思っていた。
その思い込みが見事に覆された夜だった。
オリンピックでサッカー日本代表がブラジルを撃破した、マイアミの
奇跡ではないけれど、その衝撃度はそれを遥かに凌いでいた。
ワインはムートンだったが、La Tour/ラ・トゥールの間での出来だった
から、ラ・トゥールの間の奇跡だ。
「ボトルの中の真実、それはコルクを抜いた人のみが知る。」
このフレーズを今まで何度となく使って来た、が、昨夜の出来事で
安易に使うべきでないと思い知らされた。
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外観:エッジにオレンジ。全体に黒み。清澄度は極めて低く、コーヒー
リキュールの様。とにかく濃い。
香り:ブラックベリー。アメリカンチェリーのコンポート。シナモン。
スーボワ。アーシー。チョコ、モカのヒント。
味わい:果実味とタンニンのマリアージュ。瑞々しさすら感じる。
パウダリーなアタックながら、深みのある奥ゆかしさある余韻。
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テイスティング・コメントはこんな感じ。香り、味わい、余韻それぞれに
今まで経験をした事がない、表現し難いものを感じた。こんな状態の
ワインに。これを奇跡と言わないで、何と言えば良いのか。それとも
古酒とはこう言うものなのか。
ボトルを通して外観をチェックし、このワインは飲めないなと決め付け
ないで、勇気を持ってコルクを抜き、グラスに注いでワインと正面から
向き合ってみよう。あなたも奇跡に遭遇するかもしれない。