2023年12月16日土曜日

扱いの手強いヤツが入荷して来ました。

ワインの変化(熟成)には空気(酸素)が介在します。それ
は酸化と言う化学現象なのですが、酸化には意図する酸化と
意図しない酸化があり、多くの場合、意図しない酸化をした
ワインは取り扱いになかなか手強いものがあります。
特に手強いのはそのワインの香りです。ワインが傷んでいる
訳ではないので、不快な香りではないのですが、私達が日々
楽しんでいるワインに滅多に感じる事のない香りが備わって
いて、飲み手によっては過熟ぎみ(飲み頃を過ぎつつある)
と認識するかもしれません。
意図した酸化なら、白ワインの場合、10年以上熟成した、赤
ワインの場合、15年以上熟成した時に感じられる様な香りと
思って下さい。
つまり私達がデイリーに楽しむワインはそんなに古いワイン
ではないですから慣れ親しんでいる香りではない訳で、それ
故、扱いにテクニックが必要なのです。
今日は白ワインを紹介しますので、白ワインの場合について
説明します。意図しない熟成をした白ワインは一緒に楽しむ
料理や食べ物とのリンクがいつも以上に緊密でなくてはなり
ません。特に両者の香りが同系である事に止まらず、同質で
なければなりません。ワインにマッシュルームの香りがある
なら、マッシュルームが料理の主役になっている事。ワイン
にドライフルーツのフレーヴァーを感じるなら、その相棒は
同じ種のドライフルーツである事。と言った具合です。
また、炭酸ガスを含有する発泡性ワイン(スパークリング・
ワイン、スペインではエスプモーソ)は炭酸ガスによる重合
(ガス焼けと言われますが)で乾いたニュアンス(金っ気)、
例えば天日干しした根野菜、生アーモンド、ドライフルーツ、
ドライフラワー、そして時にメタリックなフレーヴァーなど
を感じる事があります。
意図しない酸化とガス焼けのあるスパークリング・ワインは
取り扱いに最もコツが要るのですが、ホリデー・シーズン用
5つ目、今日、紹介のワインは真にそれで、技を使わず、只
飲んだだけなら、内包されている良さを感じ取れない可能性
があるかもしれません。
意図しない酸化とガス焼けでワインが還元的になっています。
先ずはその還元状態を和らげてあげます。通常は泡立たない
様に静かにグラスに注ぎますが、還元状態解消の為、泡立つ
様に勢いよく注ぎます。そして、そのワインの香り、味わい
をチェックします。感じたフレーヴァーと同じフレーヴァー
を備えた料理、食べ物を用意し、それらにワインを合わせて
あげたなら、ワインが内包する良さを引き出す事ができます。
料理、食べ物を準備している間、瓶内のワインは空気に触れ、
緩やかに還元状態を解消して行きます。実際に味わう際にも
同様にグラスに泡立てて注ぎ、より多く還元状態を解消して
あげればOKです。




*Gran Cueva Brut Nature
 グラン・クエヴァ、ブリュット・ナトゥーレ

相性の良い料理:素材の持つ優しい甘味を活かした軽やかな
        味わいの料理。
        チーズなら、モッツァレッラ。
飲み頃温度:8~10度。
<まろやかで落ち着いた味わいのやや辛口>
2,***円

テイスティングしたボトルのワインのフレーヴァーから考え、
相棒となるお勧めの料理、食べ物はこんな感じです。

・軟骨入り鶏肉のつくね焼き(塩)
ホリデー・シーズンには鶏料理。軟骨の香ばしさがワインの
個性と同化します。




・白菜のうま煮
白菜の白っぽい部分のオブラートを思わせる味わいがワイン
のフレーヴァーと同化します。




・ドライマンゴー
ドライフルーツ特有の鉄分ぽさ、甘露飴の様なリッチな味が
ワインの味わいと同化します。        




・栗きんとん
正月料理と言えば栗きんとんはその代表的なひとつ。これに
合わせ楽しめるワインはなかなかないのですが、ラッキーな
事に意図しない酸化で創られたフレーヴァーが、きんとんの
フレーヴァーと同質なのです。奇跡のマリアージュ、お試し
下さい。




WINE HOUSE
開店時間:14時~19時
定休日:毎月7日、15日
支払方法:現金 or PayPay
入店時のルール:マスクの正しい着用、手の消毒

元旦の朝に発症した右顔面麻痺が未だに治癒しません。この
麻痺の為、右目が閉じず異物が混入し易い状態です。飛沫の
侵入により感染症を患う可能性があります。
ご存じの方が多いとは思いますが、当店では対面でワインに
関する様々な説明をします。その際、飛沫をブロックする為
どなたにもマスクの着用をし、飛沫拡散を防止して頂く事に
していますので、宜しくお願い致します。