ワイン業界に足を踏み入れた頃、35年前になりますが、街中で
ワインを見かける事は都会を除きレアでした。そして見かける
輸入ワインと言えば、フランス産、ドイツ産(今と違い、甘口
の白だけ)、数種類のイタリア産ぐらいでした。
チリ産ワインはない。東ヨーロッパ産のワインもない。地方に
行けば、ソムリエ?何それ?と言った具合でしたし、ワインを
専門に販売する小売店も皆無でした。群馬県の話です。そんな
時代でしたが、良くここまでワインが一般的になったものだと
感慨深いものがあります。
当時、手に入り易いイタリア・ワインはChianti/キアンティと
言う赤ワインで、丸底フラスコの様な瓶に入っていて、その瓶
の丸底の部分には藁が巻いてありました。
赤ワインと言っても、現代の主流である色が透けない程、濃い
タイプはなく、カンパリやカンパリソーダの様な色合いで、水
代わりに飲むワインだなどと言われていました。
キアンティは長い歴史を持つワインですが、その様なタイプが
主流をなし、安ワインの代表格として低迷していたのです。
しかし、そんなタイプのキアンティが当たり前だった日本です
が、イタリア国内ではワインの高品質化の流れが顕著で、この
流れにキアンティも例外なく飲み込まれ、既に水代わりに飲む
安ワインの汚名を返上していました。
ワイン文化が根付いていなかった日本に見事に生まれ変わった
キアンティが入って来るのは10年後、いや、もっと後だったと
思います。
今ではイタリア・ワインの最高峰として、その地位を不動にし、
品質は言うに及ばず、お手頃な価格のものから、数万円もする
ものの飲むべき価値のあるワインとして日本の市場に登場して
います。
また、コスト・パフォーマンスが抜群で、多様な酒質があり、
キアンティだけを取り扱ったとしても、商いができる程です。
実際、当店では15種類程のキアンティを販売しています。
その中からお手頃に楽しめる2種類を紹介します。同じ生産者
の呼称違いのキアンティです。片方はRiserva/リゼルヴァで、
通常の規定より熟成期間が長く、フレーヴァーに複雑さ、深み
があります。
お手頃価格にも関わらず、かつての汚名を微塵も感じさせない
驚愕の品質をしています。俺達、キアンティをなめんなよ。と
言わんばかりの凄さがあります。味わえばそれを確実に感じる
でしょう。
ヴィッラ・プッチーニ2019キアンティ・スペリオーレ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら、パルミジャーノ、チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<優雅な和みのあるミディアムボディー>
1,**0円
*Villa Puccini 2018 Chianti Riserva
ヴィッラ・プッチーニ2018キアンティ・リゼルヴァ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
チーズなら、パルミジャーノ、チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<美しい品位に満ちたミディアムボディー>
1,**0円
ですが、一緒に味わうとスペリオーレにはチャーミングさに
優しさを感じるのに対し、リゼルヴァの方は長い樽熟成から
のスパイシーさを感じ、長い樽熟成に耐えられた酒質の強さ
があります。その為、香り、味わいに野趣な深みが備わって
いてスペリオーレより主張が豊かです。
これらをテイスティングした時、一緒に合わせ楽しみたいと
瞬時に思い浮かんだのが最近、お気に入りの洋惣菜店、nabe_
no_naka(太田市宝町)の「牛すじの赤ワイン煮、じゃが芋
のピュレ添え」です。
牛すじには野趣なフレーヴァー(血合いぽさ)があり、鉄分
ぽさも感じます。これはキアンティを造るサンジョヴェーゼ
/Sangioveseがワインにもたらす典型的特徴です。両者には
共通の要素がありますから、好相性なのですが、赤ワインで
煮てある事で一層、肉とワインが寄り添います。
どちらのキアンティでも良いのですが、スペリオーレの持つ
優しさは牛すじの味わい深さに後れを取ってしまう様です。
そこで重要なつなぎ役を果たすのがじゃが芋のピュレです。
牛すじのフレーヴァーに優しさを添え、スペリオーレの酒質
を引き寄せてくれます。
添え」を買ったなら、当店で2種類のヴィッラ・プッチーニ
をゲット。後はあなたの食卓で牛すじとピュレを一緒に食べ、
スペリオーレを味わい、そのマリアージュを堪能し、牛すじ
だけを食べ、リゼルヴァを味わい、今度はそのマリアージュ
を楽しむ。そんな贅沢な楽しみ方を是非、してみて下さい。
キアンティはあなたの食卓で活躍する準備がいつでもできて
います。キアンティの素晴らしさをこの機会に実感してみて
下さい。