シチリア島にいる友人から聞いた話。「かつてはマグロを殆ど
食べなかったけれど、最近ではしばしば食べるよ。」と。どの
様に食べるのか聞くと、「炭火で焼いて塩コショウで味わいを
整えて、あるいは茹でて塩オリーヴオイルで味わいを整えて、
あるいは生で(刺身や寿司で)醤油をつけて」と。
シチリア島の漁師は昔からマグロ漁をしていましたが、獲った
マグロは加工業者に卸したり、日本へ送ったりし、シチリアの
島民がマグロを消費する事は少ないと認識していたのですが今
の状況は大きく異なっている様です。
マグロを消費する現象は世界規模で起きていて、マグロの消費
唯一の国と言っても過言ではなかった日本が、安価で、大量の
マグロを好きな時に好きなだけ消費する事がマグロ不足の為、
困難になりつつある。こんな状況になりました。
特に地中海沿岸諸国のマグロ消費の増大は顕著で、地中海産の
クロマグロはもうほとんど日本へは来ないでしょう。日本食が
グローバルになったと喜んで良いのか悪いのか。
料理と日本酒もそうですが、ワインも地味があり、同じ産地の
料理(地味を感じる)との相性に比較的優れる傾向があります。
そんな事から近年、マグロに合う、それだけでなく赤身の魚に
合うワインをシチリア産の中からしばしば見つける様になり、
そんなワインをTo goした寿司に合わせ、毎週の様に楽しんで
います。
新着の1本を紹介します。そのワインは赤で、エトナ/Etnaと
言う火山(ヨーロッパ最大の活火山)の斜面に拓かれた畑で
育んだネレッロ・マスカレーゼ/Nerello Mascaleseで造って
あります。
このブドウはシチリア島以外ではほとんど見かけませんので
シチリアの赤ワインを飲んだ事がなければ、全く未知の品種
と言えます。
このブドウから誕生する赤ワインは、軽快でチャーミングな
酒質のものから、赤身肉が食べたくなる様な野趣な香味ある
重厚なボディーのものまであり、多様です。
今日紹介するワインはその中間に位置する酒質で、穏やかな
果実味が控えめに備わり、熟成感抜群の落ち着いた香味の中
に、マグロやカツオと共通する血合いのヒントと鉄分ぽさを
感じ、その事でマグロやカツオの刺身や寿司が無性に欲しく
なるムードにしてくれます。