2021年4月13日火曜日

曽我さんが言っている通り

小布施からワインが届きました。今年初です。と言うのも1月
から4月上旬は小布施ワイナリーが密かに造る「幻の」と形容
しても良いSakeの出荷時期になるからです。
ワイナリーが日本酒?と驚くと思いますが、アルコール業界の
戦前戦後の歴史を知る方ならば、驚く事ではありません。当時
アルコール飲料は快楽を人々にもたらし、国家総動員で戦争に
向う流れに反してしまう為、製造を禁止されていました。
但し、果実酒(現在のワイン)だけは製造を許されていました。
果実酒に含まれる酒石酸は他の物質と化合し、冷却された際に
固形化し、酒石と呼ばれる物質となります。その酒石は軍需品
の部品に転用可能だった為、国家の役に立つと言う事で果実酒
造りが行われ、多くの酒蔵が果実酒造りに転換しました。
しかし、酒石を取り出す事だけが目的でしたので、飲める様な
レヴェルではなく、終戦と共に大部分の果実酒製造者が廃業か
日本酒造りに回帰しました。
小布施ワイナリーは造っていた果実酒が飲用に耐えうる高品質
であった事から果実酒造りを継続したと推測します。しかし、
近年まで小布施ワイナリーの会社名は小布施酒造でしたから、
その点も含めて、彼らが日本酒造りを継続していて、それらを
市販する決断をし、私達が味わう機会が訪れ、今に至っている
事は極めて自然な事です。
さあ、ワインの話です。数年前に大決断をし、品質向上の為に
減産をした小布施ワイナリー。その結果、商品によっては極、
少量のみですので、案内するのはある程度、まとまった数量が
入荷したワインのみになりますが、案内していない商品もあり
ますので、ご来店の際にお尋ね下さい。




今日紹介のワインは赤ワイン。Petit Verdot/プティ・ヴェルド
と言うフランスのボルドー地方が故郷のブドウを主体に、複数
のブドウを使い造ってあります。
その鮮やかな色調の外観は若々しさを明確に感じさせ、実際に
味わってみるとフレッシュさを際立たせる酸味の広がりがあり、
それは赤い小粒の果実を食した時の感覚の様です。
テイスティング・コメントに「今は早めの抜栓が必要で、数年
のkeepで大きく向上しそう。」と記したのですが、後でバック
・ラヴェルをチェックしてみた所、曽我さんも同様のコメント
「瓶熟成を5年程望みますが、待てない場合はお飲みになる1日
前に抜栓し当日はカラフに移してからお飲みいただくと...」と
していて、至高のワイン・メーカーと同じセンスで安心したり
もしています。




何れにしても、今、楽しむのなら空気接触により強制的に酸化
させ、酒質を和ませてあげ、一緒に楽しむ料理はトマトソース
を添えた酸味のある料理が良いでしょう。
また、このワインの主体になっているプティ・ヴェルドに由来
するスパイシーなニュアンスに合わせ、スパイシーさと酸味の
共存する料理や食べ物と合わせ楽しむ事も可能です。
2021年、初案内の小布施ワイナリーの赤ワイン、シッカリと
エアレーションし、お勧めの料理でその味わいを和ませつつ、
お楽しみ下さい。
*Tout Grains des Cepages Europeens 2019
 トゥー・グラン・デ・セパージュ・ウーロピエン

飲み頃温度:15~18度。
<フレッシュなミディアムボディー>
・ハンバーグ、トマトソースを添えて
・ペパロニのピッツァ
・ウスターソースで食す揚げ物
などと一緒にお楽しみ下さい。




このワインに合う料理をTo goするのなら次の2品がお勧めです。
どちらも期間限定の商品ですので、速攻でお試し下さい。




・HottoMotto「ルーローハン」
高菜漬けの酸味がワインの酸味と、タレの絡まった炒め豚肉の
味わいの深みがワインの渋味旨味とマッチします。
・Gusto「キチテキピリ辛スパイス焼き」
ピリ辛スパイスがプティ・ヴェルド由来のワインのスパイシー
さに、添えられたスパゲッティのケチャップ味がワインの酸味
とマッチします。



(備考)
画像でお判りの様にレモンが添えられいます。これを今日紹介
のワインと一緒に楽しむ時に廃棄して下さい。過激な表現にて
申し訳ありません。
塩味と甘味はバッティングしリンクするのですが、異なる性質
の酸味(リンゴ酸と乳酸)は決してリンクしません。イメージ
はレモンをかじった後、直ぐに牛乳を飲む。そんな感じです。
やってみて下さい。今後、絶対にやろうと言う気持ちになる事
はないでしょう。