2021年1月6日水曜日

未知のワインはまだまだある

ワインの近くに身を置く様になって既に33年。色々な国、
色々な産地の様々なワインをテイスティングし、味わって
来ました。それでも尚、未知のワインがこの地球上にまだ
まだあります。
そんなワインを取引のある輸入元からテイスティング用に
頂きました。原料ブドウは珍しくはありませんが、ロシア
のワインとなるとこれが初対面です。そのブドウ品種は、
РИНО ГРИ / ピノ・グリ(Pinot Gris / ピノ・グリ)で、
ハンガリー、ルーマニア、モルドヴァではかなり一般的に
なっていますから、同じ東欧のロシアでも今後、広く栽培
される事でしょう。
もう1種類は、МОЛОДОЕ / マラドエと言う赤ワインです。
молодои / マラドイ(若い、生まれたばかりのと言う程
の意味)が文法上の格変化をした後のマラドエですから、
もう、ピンと来ている方がいると思いますが、ヌーヴォー
の事です。
ワインや食の世界でフランスとのつながりが密接であった
歴史からフランス的な単語、食文化などを見かけるロシア
です。ワイナリー名にChateau / シャトー(フランス語で
城を意味しますが、シャトーOOと言うと、OOワイナリー
となります。)が付く造り手もあるくらいですから。
それでは日本未発売のそれら2種類のワインがどんな感じ
だったかを報告致します。2種類共に当店で販売するべき
レヴェルのワインでしたので、輸入元に是非、輸入する様
働きかけたいと思っています。




*Amfitrion 2017 Pinot Gris
 アンフォトリオン2017ピノ・グリ

外観:色合いは濃いめです。黄金色に近い色調にベージュ
のトーンも感じます。この様な外観は、果皮の色が緑色や
黄色の白ブドウに大別されるブドウから生まれる事は稀で
このワインがグリ品種(果皮の色が淡い紫色やピンク色を
帯びた灰色ぽいブドウ)や黒ブドウ(果皮の色が深い紫色
のブドウ)で造った白ワインである事を示しています。
香り:白い果肉の果実のコンポートを思わせる凝縮した、
そして華やかさがあります。カスタードクリームやミルク
プリンを思わせるニュアンスがあり、このワインが木樽で
醸造されていると推測できます。
味わい:リッチ、オイリー、グラマラスです。アルコール
のヴォリューム感がハッキリと感じられます。渋味苦味の
成分(タンニン)のアクセントが明確で、ここからもこの
ワインが白ブドウで造ったものでない事が判ります。
華やかさと共に広がる豊かなヴォリューム感、オイリーさ、
骨太な味わいの広がりは、油分のある料理やクリーミーな
料理との相性にとても優れ、このワインを味わう程にその
様な料理を口にしたくなります。
「ヴィナー・シュニッツェル、レモンはかけない」「白子
の天ぷらを天つゆで」この様な料理は真にパーフェクトな
相棒となるでしょう。




テイスティングする前にその香味を予想し、「鶏の唐揚げ」
にきっとマリアージュすると思い、店の近所の「大衆食堂
わっしょい」でゲットし、ペアリングさせてみました。
果たしてその結果は...。思い通りのパーフェクト・マッチ。
わっしょいの唐揚げには木樽でその香味を整えた白ワイン
が最高の相棒。その様な白ワインを楽しむ際は、迷わずに
わっしょいの唐揚げをto go!!



*Molodoe 2020 
 マラドエ2020

外観:深い色合いです。ワインの縁に明確に紫色が残り、
若々しさに満ちています。
香り:ブリーベリーやラヴェンダーを思わせる華やかさに
満ち溢れ、そこからリキュール的なパフュームさが広がり
ます。また、メントール的フレッシュさがあり、外観同様
ヌーヴォーらしさがいっぱいです。
味わい:酸味、ミネラリーさは共に強めながら、果実味の
リッチさがそれらを柔和に包み込み、紫色のイメージある
パフュームさがチャーミングさを添えます。
紫色の果実のコンポートやリキュールを思わせる華やかさ
が不変の広がりを見せ、リッチな果実味に溶け込んだ渋味
(タンニン)のシルキーな主張と共に優美さ、優雅さある
フィニッシュを創ります。
この様に果実味がハッキリとあり、紫色のイメージに満ち
溢れた酒質の赤ワインは、「オタフクソース、中濃ソース」
「テリヤキソース」との相性に優れ、また、今まで何度も
言及して来ましたが、玉子の料理、特に黄身と素晴らしい
マリアージュを奏でます。



どちらのワインも当店で2,500円か3,000円で販売できる
のなら今年の秋には店にあるかもしれません。恐るべし、
ロシアワイン。皆様の度肝を抜くに十分な品質です。