Casa Vinicola Fratelli Casetta/カーサ・ヴィニコラ・フラテッリ
・カセッタ。和訳すればカセッタ兄弟ワイン醸造所。この造り手は
コンディションの良い何かしらの古酒(オールド・ヴィンテージ・
ワイン)を常に日本市場に送り込んでいます。
当店では時々、彼らの古酒を販売しますが、この度、入荷して来た
古酒は、な、何と2000年の赤ワイン。つまり二十歳のワインです。
原料ブドウは長期熟成が可能な赤ワインを造り出すイタリアを代表
する品種、Nebbiolo/ネッビオーロです。
ネッビオーロで造った赤ワインと言えば、真っ先に思い浮かぶのが
Baloro/バローロやBarbaresco/バルバレスコですが、そればかり
ではありません。他にも長期熟成を経て、真価を発揮するこの品種
の赤ワインがあります。それが今日、紹介しますNebbiolo d'Alba/
ネッビオーロ・ダルバです。
Cuneo/クーネオにある村(Comune/コムーネ)で、ワイン産地を
構成する主要な村のひとつです。
ネッビオーロ・ダルバとは、アルバ村のネッビオーロと言う意味で、
アルバ村とその周辺の村で育まれたネッビオーロで造った赤ワイン
の事です。
が控えめで、色合いは決して濃くはなく、しかしタンニン(渋味、
苦味の成分)は多く、そこには鉄分ぽさ、ドライさ、ジビエ肉ぽさ
の野趣さが伴います。
ジビエ肉の料理には最適な赤ワインですし、和牛よりもオージー牛
など脂身が少なく、鉄分ぽさが豊富な牛肉の料理、魚ならマグロの
赤身やカツオ、ブリなどの野趣さがある部位を使った料理との相性
も抜群です。
また、きんぴらごぼう、肉厚しいたけの網焼き、鰻の蒲焼もこの赤
ワインの良きパートナーになり得ます。
にあるのなら、長期熟成が可能です。今日、紹介のワインは20歳で
普段、なかなか出会う事のないオールド・ヴィンテージです。ただ、
ネッビオーロの赤ワインならばこの位の熟成をさせてから楽しむ事
は決して稀ではありません。
通常、20歳のワインですと、熟成によって元々、ワインに備わって
いた色素やポリフェノール、酸などが固形化し、いわゆる滓(オリ)
となって沈殿し、瓶底にたまります。これを瓶底に留めたまま、上
の澄んだ部分のワインを楽しむ。これがオールド・ヴィンテージで、
少々、取り扱いに慣れが必要です。
その様なワインはある一定の期間を木樽の中で過ごし、タイミング
を見計らって瓶詰され、酒質を洗練させる為の長期熟成の眠りへと
就き、その結果、瓶内にオリがあります。
一方で、長期熟成を経ているワインにも関わらず、瓶内にはオリが
全くない、あるいはほとんどない事があります。ヴィンテージ詐称
なのではと疑いたくなりますが、ヴィンテージ表示は原産地呼称を
名乗る為のワイン法で厳格に保護されていますから、詐称は決して
ありません。
では、何故、オリがないのか?オリはどこへ行ってしまったのか?
この手法はイタリアやスペインでよく取られるのですが、木樽内や
瓶内での法定熟成期間があります。
例えば法定熟成期間が3年、内2年間は木樽内で。と規定されている
ワインがあるとします。ブドウを収穫し、ワインを造り、先ず木樽
の中で2年間熟成させます。その後、瓶内で1年間の熟成をさせれば
法的に販売可能になります。
そのワインを20年後に出荷したい。そのタイミングまで瓶内熟成を
させたなら、瓶内にオリがあるでしょう。法定熟成期間を経過した
後、大きな古樽(この種の樽からは酸化の影響を受けず、緩やかに
熟成が進み、その結果、色調は赤みが残り、果実味も残存します。)
や大型のステンレス・タンク(この種のタンクは酸化の影響を全く
受けないまま熟成期間を取る事ができ、やはり赤みが残り、果実味
もよりハッキリ残存します。)にワインを瓶から移し、更に熟成を
させたならどうでしょうか。
この手法ではオリは大樽内、ステンレス・タンク内で湧出し、沈殿
していますから、20歳のタイミングで上澄みだけを瓶詰し、ラベル
を張り、出荷すれば瓶内にオリがない訳です。
また、この手法のワインは出荷直前にラベルを張っていますので、
経時変化によるラベルの汚れや劣化がなく、とても綺麗です。これ
も法定熟成期間を規定通りの容器内で過ごし、その後、任意で別の
容器で長期熟成させた後、商品化され、市場に供給されるワインの
大きな特徴です。
推測しています。外観は20歳の赤ワインに特有のガーネット色では
なく、その手前のルビー色もシッカリ感じられますし、瓶内にオリ
は全くありません。ラベルも綺麗、コルクにも経時変化による劣化
がありませんので。
20歳のワインなのに果実味があり、優しい酒質、しかもオールド・
ヴィンテージワインとしては極めてお手頃価格。そして何よりその
驚きの高品質は飲み手の心を打ちます。
この赤ワインは是非、料理とマリアージュさせつつ、ご堪能頂く事
をお勧め致します。それがオールド・ヴィンテージのこの赤ワイン
の素晴らしさを最大限引き出してくれますから。