2020年3月17日火曜日

苦味旨味×苦味旨味=グッド・ハーモニー

白ワインの主要な要素の一つに苦味があります。苦味には心地良い
苦味と不快な苦味がありますが、主要な要素の一つの苦味は当然の
事ですが、前者の心地良い苦みを指しています。
心地良い苦味の主な由来は原料ブドウからです。原料ブドウが何故
苦味を持っているかと言いますと、それは2つのパターンがあると
思います。
一つは温暖で、陽光豊かな環境の下、ブドウがパーフェクトに完熟
すると果肉と果皮にタップリのエキスが蓄積され、また陽光を十分
に浴びた果皮は日焼け防止の為、蝋質(果皮に付いている膜の様な)
をまとい、自衛します。この様な状態のブドウには豊富な糖分、酸
などと共に豊かな苦味成分も含有されています。そのブドウを使い
ワインを造った時、ワインには心地良い苦味が備わります。
もう一つは石灰質の土壌やカキ等の貝殻が多く含まれた土壌、火山
の噴火で堆積した火山灰の土壌で育まれたブドウは土中から沢山の
ミネラルを吸い上げ、それらを実に蓄積します。この様なブドウで
ワインを造ると、そのワインは豊かなミネラリーさ(硬水の様な)
を備え、そこから心地良い苦味を感じる訳です。
本日は前者のタイプに真にマリアージュする食べ物に出会いました
ので、それと共にイタリアから新着のそのタイプの白ワインを紹介
致します。
その白ワインはイタリア中部でとても有名なワインで、その地以外
ではほとんど見かけない土着品種で造った個性豊かなワインですが
ここ日本ではややマイナーな存在となっています。
その白ワインはVerdicchio dei Castelli di Jesi/ヴェルディッキオ・
デイ・カステッリ・ディ・イエージと言い、マルケ州の州都である
アンコーナにほど近いエリアが原産地です。現地では海の魚を豊富
に使ったスープやムール貝の蒸し物と一緒に楽しまれる海のワイン
と言えるでしょう。
Verdicchioがブドウで、Jesiの集落(Castello)とその近隣の村々で
栽培され、海からの影響も受けながら温暖で豊かな陽光を浴びつつ
シッカリと熟します。その様なブドウで造ったカステッリ・ディ・
イエージは生アーモンドや硬水のミネラル・ウォーターを思わせる
香味があり、飲んだ直後の口中の余韻に網焼きしたハマグリ、カキ
等に感じる風味が残ります。


似た者同士と言われる様に、2つのものがリンクするにはお互いに
類似する、同様の、共通する要素がある事が最も基本となります。
ワインと料理の関係で見た時、それがとても顕著に表れます。両者
に同じ香りがあるとマリアージュし易くなります。
ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージには貝類の
ヒントがあります。ですから、この白ワインは貝類を使った料理と
同化し易く、温まった磯の香りも感じますので生の貝類よりも、火
の入った貝類の方がより良く調和します。
先日、コンビニでたまたま見つけたカップ・ラーメン「あさりだし
ちゃんぽん」。最近の災害多発を受け、非常食を常備しなくてはと
思い、どうせ備蓄するなら美味なカップ・ラーメンが良いなと考え、
新商品を見つける度に試食しています。
このカップ・ラーメンは本当にあさりの出汁が効いていて、深みの
ある風味がインスタントとは思えません。冷凍食品も同様ですが、
近年のインスタント食品の進化には驚かされます。
このカップ・ラーメンを食べた時、真っ先に思った事は、ワインに
合わせ食べるのに相応しいと。そのワインは他でもない今日紹介の
ヴェルディッキオ・ディ・カステッリ・ディ・イエージだと。
このカップ・ラーメンは期間限定発売との事ですので、販売終了前
にヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージに合わせ
貝類のヒント同士のマリアージュを楽しんでみて下さい。


*San Paolo 2015 Castelli di Jesi Verdicchio Riserva Classico
 サン・パオロ
 2015カステッリ・ディ・イエージ、ヴェルディッキオ
 リゼルヴァ・クラッシコ
飲み頃温度:11~14度。
<コクのある辛口>
3,000円