いきなりですが、Blanc de Cabernet/ブラン・ド・カベルネって何で
しょうか?Blancはフランス語で「白」、deはフランス語で「の」や
「~から」と言う程の意味、Cabernetはカベルネと言うブドウ品種の
事です。つまり、「カベルネからの白」です。
私達がカベルネと言うと大抵の場合はCabernet Sauvignon/カベルネ
・ソーヴィニョンを指していると思います。カベルネにはその他にも
Cabernet Franc/カベルネ・フラン等があり、時にはソーヴィニョン
の事でなく、フランやその他のブドウを指してカベルネと言っている
場合もあるかもしれません。
今日、紹介しますブラン・ド・カベルネのカベルネはソーヴィニョン
の事で、カベルネ・ソーヴィニョンで造った白ワイン、しかもとても
珍しい事にスパークリング・ワインです。
かつてはカベルネ種などの果皮が紫色の黒ブドウから造った白ワイン
(ロゼワインも)は瓶詰めされた商品としての流通はほとんどなく、
この業界に入った32年前から暫くの間は、黒ブドウで赤ワイン以外を
造るなんて(スパークリング・ワインを除き)聞いた事すらなかった
と記憶しています。
黒ブドウから白ワインやロゼワインを造る時、多くの場合、植樹して
間もない樹齢の若いブドウ樹から収穫したブドウを用いて造ります。
樹齢が若いと果皮の色づきが十分でなく、赤ワインの色合いに深みが
でないからです。
近年、白ワインのヴァリエーションとして黒ブドウで造った白ワイン
(Blanc de Noir/ブラン・ド・ノワ)が増えている(瓶詰された商品
として見かける事が多くなっている)ので、初めからその様に造ろう
と計画し、白ワインに向くように黒ブドウを育てている場合もきっと
あると思います。
カベルネ・ソーヴィニョンで造った白ワインはどんな感じなのか想像
できますか?それにはカベルネ・ソーヴィニョンの事を知っておくと
想像し易いでしょう。
ブドウは自然交配し易く、また突然変異もし易いと言われています。
カベルネ・ソーヴィニョンもその結果、誕生したブドウです。近年、
それが解明されました。黒ブドウのカベルネ・フランと果皮が黄色み
を帯びた緑色をした白ブドウのSauvignon Blanc/ソーヴィニョンが
親で自然交配品種です。
カベルネ・ソーヴィニョンで造った赤ワインに紫色の花や果実の香り
があるの同時に、シダや深い緑色の野菜の香りも感じるのは、紫色の
ニュアンスがカベルネ・フランから、緑色のニュアンスがもう片方の
親、ソーヴィニョン・ブランからもたらされている言えます。
カベルネ・ソーヴィニョンで赤ワインを造ったなら、ロゼワインでも
ほぼ同じ様な事が言えますが、カベルネ・フランとソーヴィニョン・
ブランの(両親の)性格がワインに反映しています。
では、カベルネ・ソーヴィニョンで白ワインを造った時はどうなのか。
赤ワインもロゼワインもその色は原料ブドウの果皮の色素です。白い
果汁に果皮を浸漬し、ロゼ色やもっと浸漬し、赤色にします。それが
酵母の働きで発酵を経てロゼワインや赤ワインになります。
白ワインを造る時はカベルネ・ソーヴィニョンを圧搾し、果汁をとり、
その果汁は白ですから果皮を浸漬せず、酵母によるアルコール発酵で
白ワインになります。黒ブドウの最大の個性の拠り所の果皮の働きが
ない訳です。
その結果、黒ブドウの片親の個性がワインへ反映されず、白ブドウの
ソーヴィニョン・ブランの個性のみ(正確には、のみと断言できない
のでしょうが、便宜上、のみと言う表現をします。)がワインへ引き
継がれます。
事実、カベルネ・ソーヴィニョンで造った白ワインをテイスティング
すると、ソーヴィニョン・ブランの白ワインそのものです。一つ付け
足せば、ソーヴィニョン・ブランの個性である強烈な緑色のイメージ
がそれより優しく感じられると言えます。
ですので、葉っぱぽさ、草っぽさ、悪い表現をしますと人によっては
カメムシの様な香り、その様な緑色のニュアンスが苦手な人はブラン
・ド・カベルネなら親しめるでしょう。
ブラン・ド・カベルネには控えめなフレッシュ・ハーブの香り、若葉
や若草に香り、セロリや長ネギを思わせる香りなど、緑色の穏やかな
ヒントがあります。それに合わせ、淡い味わいの食材を調理し、塩で
穏やかに味わいを整えた料理の中に長ネギ、青のり、刻んだパセリ、
ほうれん草、わさび等を同居させればワインと料理のマリアージュは
完成です。
カベルネ・ソーヴィニョンで造った上品な風味の白のスパークリング
・ワインを是非、お楽しみ下さい。
*Radacini 2018 Moldova Blanc de Cabernet
ラダチニ2018モルドヴァ、ブラン・ド・カベルネ
飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口>
1,500円
・甘鯛の塩焼きにライムを添えて
・鳥のささ身と長ネギの炒め物
・ちくわの磯辺揚げ
こんな料理にとても良くマリアージュするスパークリング・ワイン
です。



