2018年1月27日土曜日

これからワインを楽しんで行きたいあなたへ

ワインは味わって、料理に合わせて楽しむもので消費者の皆様に
とって勉強の対象ではないので、勉強色を添えた事をあれこれと
言いたくはないのですが...。
店にワインを買いにいらっしゃる消費者の方から時々リクエスト
を受ける事があります。それはこれからワインを楽しんで行く為
には、ワインを理解する為にはどうすれば良いですかと。
その様なリクエストには常にこう答えて(応えて)います。白や
赤ワインを造る代表的なブドウがあります。白ならChardonnay/
シャルドネ、Sauvignon Blanc/ソーヴィニョン・ブラン、赤なら
Cabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョン、Pinot Noir/
ピノ・ノワになるでしょう。これらで造った2種類の白ワイン、
赤ワインを条件を同じくして何度も常に比較しつつ味わってみて
下さいと。
香りや味わいの違いを比較する事で、白ワインなら軽快なタイプ
とコクのあるタイプを、赤ワインなら渋味(タンニン)が少ない
タイプ(ライトボディーやミディアムボディー)と多いタイプ
(フルボディー)を実感し、自分の感覚で目の前にあるワイン
の姿を捉えられる様に先ずは挑戦してみましょうと。
ワインを自分の感覚、バロメーターで捉えられる様になるとそれ
を色々な所で活用する事ができ、それに因って様々な状況で最適
な楽しみを得る事ができる様になります。こんな気分だからこの
タイプのワインを、これを食べるからこのワインをと言った具合
に。


上の画像をご覧下さい。どちらも赤ワインである事はどなたでも
お判りの筈です。この2つを見比べて何が判るでしょうか?色の
濃さが違います。色調が違います。
赤ワインは一般的に渋味が弱いと色が薄く、渋味が強くなると色
が濃くなります。赤ワインの色、それを構成しているのが渋味を
感じる成分だからです。
また、出来たばかりの赤ワインは紫色の色調を感じ、熟成が進む
に従い紫色がなくなりルビー色へ、更に熟成が進むとオレンジ色
や茶色の色調を感じる様になります。
色調が紫色を帯びている赤ワインはとてもフルーティーで相性の
良い料理の幅が狭いのですが、熟成が進み紫色の色調が弱まると
フルーティーさが落ち着き相性の良い料理の幅が広がります。
赤ワインの渋味成分は酸化に対し抵抗する力がありますので、色
の濃い赤ワインは酸化し難く、長い間、紫色の色調を保ちます。
色が薄い渋味成分が少ない赤ワイン方が色調を早く変化させるの
です。
ピノ・ノワの赤ワインとカベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインを
比較すると良いと言いましたが、この2つの赤ワインはあらゆる
点で大きく異なっていて、赤ワインの大枠を把握するのに非常に
適しています。
一般的にピノ・ノワの赤ワインはライトボディーやミディアム
ボディーの代表格で、カベルネ・ソーヴィニョンの赤ワインは
フルボディーの代表格になります。もちろん、ピノ・ノワにも
フルボディーもありますし、カベルネ・ソーヴィニョンでさえ
限りなくライトボディーに近いものもありますが。
OOボディーとはワインにどれ程の渋味成分があるのかを大きく
分け、表現したもので、赤ワインのボディーがどの区分にある
のかが感覚的に判るとそれに応じて楽しむべき料理がおおよそ
決まります。
渋味が少ないライトボディーの赤ワインなら酸味の効いた軽い
味付けの料理が、ミディアムボディーの赤ワインなら脂肪分を
含んだ旨味のある料理が、渋味がドッシリとあるフルボディー
の赤ワインなら脂肪分の多いコッテリとしたコクのある味わい
の料理がマリアージュします。渋味成分と料理の脂肪分が調和
する訳です。
白ワインが原料ブドウの違いよりも醸造熟成過程の違いにより
その酒質が決まる傾向があるのに対し、原料ブドウの果皮の色
を使い造る赤ワインは原料ブドウによりその酒質が決まる傾向
があります。
ピノ・ノワとカベルネ・ソーヴィニョンは既に述べた通りです
が、その他でしたらBeaujolais/ボージョレと言う赤ワインを
造るGamay/ガメイは前者のタイプに、Merlot/メルロ、Syrah
/シラーは後者のタイプに当てはまります。
つまり赤ワインの場合、ライトボディー、ミディアムボディー、
フルボディーを感覚で捉える事ができたなら、一緒に合わせる
と良い料理がイメージでき、それぞれのブドウからどんな酒質
の赤ワインができるかを飲用経験で知る事でTPOに合わせ選択
する事が可能になるのです。


上の画像は同じ生産者のピノ・ノワの赤ワインとカベルネ・
ソーヴィニョンの赤ワインです。もうどちらがピノ・ノワで
あるのかお判りの筈です。
赤ワインはこの様に体系的に見て、味わって、色々と経験を
重ねると自分の中にできたセンスで感じ取れる様になります。
もしかするとこれが勉強好きな日本人が白ワインよりも赤を
好む要因の一つになっているのかもしれません。
赤ワインを感覚的に捉え、色々な楽しみへつなげて行きたい
のなら、ピノ・ノワの赤ワインとカベルネ・ソーヴィニョン
の赤ワインを先ずは何度も味わい比べてみて下さい。
*Deen 2016 Vat Series No.10 Pinot Noir
ディーン16ヴァット・シリーズ、ナンバー10、ピノ・ノワ
*Deen 2015 Vat Series No.9 Cabernet Sauvignon
ディーン15ヴァット・シリーズ、ナンバー9、カベルネ・ソーヴィニョン
画像の赤ワインはどちらもオーストラリア産、1,500円です。