2017年10月14日土曜日

Jグループ審査員長を務めて来ました。

10月3日~12日まで連休させて頂き、ルーマニアへ行って来ました。
今回のミッションはルーマニア北東部にあるVrancea/ヴランチェア
で開催された第25回国際フェスティヴァル・ワイン&ヴィンヤード
・バッカスの中の一つのイヴェントである国際ワインコンテスト・
バッカスの審査員をする事。いつもの一人旅でレンタカーを運転し
ワイナリーを巡るのとは重大さの次元が違いました。
先月、審査員をしてほしいとの依頼があり、素晴らしいチャンスと
思い引き受けたのですが、Jグループの審査員を束ねる審査員長とは
思ってもいませんでした。
何をするのか尋ねた所、Jグループ内で主催者にリクエスト(ワイン
の状態がおかしいので別のボトルに替えてほしい等)が発生した際、
グループ内の意見を集約し、Jグループの総意として主催者に伝える
役目を担っているとの事でした。
審査員をする前提条件として、通訳が不要な事、世界中のワインに
精通している事、ワイン・テイスティングのスキルが高い事などが
あり、それらに該当しているので依頼が来たのですが、1999年に
東京で開催された第10回エンリケ航海王子賞ソムリエコンテストで
日本チャンピオンになっている事もあり、現地ではそれに相応しい
接し方をされたと感じています。
ワインコンテストは紙で覆われたワインを会場のスタッフが私から
順にJグループの審査員全員に注ぎ、それを外観、香り、味わいと
チェックし、総合評価をし、その結果を全て手元にあるタブレット
に打ち込んで行きます。
他のグループの審査員の結果も含め、全てがホスト・コンピュータ
に集約され、そのワインの平均点がはじき出され、点数の高い順に
ランク付けされ、3つのチャンピオンの他、金賞、銀賞が決まると
言うワインのランク付けのコンクールでした。
ソムリエコンテストやワインアドヴァイザー選手権への選手として
の出場経験は多数ありましたが、ワインを審査するコンテストへの
審査員としての参加は初めてで、しかも審査委員長でしたから当初
どうなる事かと思っていましたが、為せば成る、為さねばならぬ...
です。沢山の仲間が出来ましたし、非常に素晴らしい経験が出来た
と思っています。
高みを目指して日頃、絶え間ない努力をしているとどこかで誰かが
それを見ていてくれ、掛け替えのないチャンスを与えてくれる事が
判りました。次回のコンテストにも審査員として参加したいと強く
アピールして来ましたので、再びチャンスがあればラッキーだなと
思っています。
それではここから画像を交え、国際ワインコンテスト・バッカスの
様子をお伝えします。

ヴランチェア(日本で言う県に相当します)の中心の街Focsani/
フォクシャニのセンターにあるGrand'Or Focsani/グランドール・
フォクシャニが会場です。コンクール開催中はほぼ一日中ここに
います。



こちらワインの審査会場です。画面奥に向かい5列にテーブルが
並んでいます。この1列が一つのグループで私達のグループの列
は右から2番目で、私が日本人ですのでJaponiaのJでJグループに
なっています。



これが一人の審査員が使うテーブルです。右側にあるタブレット
にテイスティングした結果を打ち込みます。



 タブレットの画面で確認出来ます様に外観(Visual)、香り(Smell)
味わい(Taste)、総合評価(Harmony、Overall)を5段階で評価
して行きます。


各グループの審査委員長は他の審査員と向き合い座ります。審査の
合間、向き合っている他の審査員と話がし易いとの判断で、当初は
全員が同じ方向を向き座っていたのですが、初日の審査開始直前に
向き合う配置に変更しました。



審査の一番最後のテイスティングです。ロゼワインのランク付けが
複数同点の為、全ての審査が終了した後でしたが決戦審査が6種類
で行われました。



各グループは5名で構成され、Jが私達のグループで1が審査委員長、
2~5が他の審査委員です。画像の様に各審査員の評価点が表示され
全員の点が揃った後、平均点(Ave)が表示されます。
審査に関して特にこの様にしてほしいと言う指示はなく、私の場合、
ワインにクリーンさがあるか、汚れ(苦味の突出、木樽の使い過ぎ、
香味の還元度、飲み頃か否か)を主眼にチェックし、将来性がある
としても今、楽しむには不満があるワインは低評価になっています。



この様な状態で審査員にワインが注がれ、判るのは瓶の色と瓶口の
形状(コルクなのかスクリューキャップなのか)だけです。人間の
判断は視覚からの情報が85%を占めるそうで、目の前にあるワイン
が赤い色をしているから赤ワインと判断しているのであって、黒い
グラスに注がれ赤ワインをテイスティングしたなら、絶対の確率で
それを赤ワインと判断できない事実が確かに存在します。驚くかも
しれませんが、この事実は決して嘘ではありません。実際に試せば
必ず納得する筈です。


全ての審査が終わり、審査員全員で撮った集合写真が上の画像です。
ヨーロッパ人の中にいる唯一のアジア人が私です。今までもブログ
の中で外国語習得の大切さ、メリットに触れて来ましたが、今回の
経験は自分史上最大、最高の貴重な、大切なもので、外国語を身に
付けようと毎日何時間もワインの勉強をする以上に費やして来た事
がこの様な形で報われました。
外国語が出来ると価値観が変わります。見える世界が変わります。
別の文化、習慣、考え方を持つ人達と接する事で日本の良さをより
理解し、日本に、日本人に足りない大切な事が見える様になります。
外国語をマスターしたい人は相談して下さい。自分がして来た方法
が誰にでもベストではないでしょうが、お金をかけず、時間を有効
に使い、確実に外国語が身に付くと思います。実際、この方法のみ
で5つの外国語を使える様になった経験者が言っているのですから
間違いないでしょう。
ワインの素晴らしい世界を覗いた後は、外国の素晴らしい世界をも
是非、覗いてみて下さい。通訳を仕事にするのでないのですから、
流暢に綺麗に話す必要など全くありません。自分の気持ちを伝える
事が出来るだけで十分です。
何か一つの外国語をマスターする。自分の生きている世界が大きく、
豊かに必ず広がります。外国語習得の必要性を感じている方は今、
この瞬間が始める時です。