色々な物、事に出会い、一瞬でそれを気に入ってしまう、好きに
なってしまう、こんな事は日常茶飯事でしょう。久し振りに滞在
したルーマニアで訪問したあるワイナリーの素晴らしさに一目で
惚れ込んでしまいました。そのワイナリーとはCrama Garboiu/
クラマ・ガルボイウ。今回、審査員長の大役を担い審査を行った
インターナショナル・ワインコンテスト・バッカスで同グループ
の審査メンバーだったLivia/リヴィアさんのお父様がオーナーを
しているワイナリーです。
比較的大規模のワイナリーにしては実に細かくオペレーションを
行っていると推測できる様子をワイナリーに足を踏み入れた途端
に感じました。最新の設備を備えた醸造器具をワインのタイプに
より幾通りにも使い分けられる様、複数備え、その器具は完璧な
までにクリーンに保たれています。熟成に使う樽にも汚れはなく、
また内部の床も綺麗に磨き上げられています。
見て下さい上下の画像を。ブドウの圧搾機が何と5台もあります。
巨大なワイナリーなら当然でしょうが、ガルボイウの様な規模で
5台もの圧搾機を備えたワイナリーを今まで見た事がありません。
ワインは原料となるブドウの良し悪し、その果汁に将来のワイン
の酒質のほとんど全てが委ねられていますから、ベストな果汁を
手に入れる為に、5台の圧搾機を使い分ける事は当然の成り行き
ですが...。それにしても妥協のない姿勢に共感です。
上の画像の中央の女性がリヴィアさんで、その右にいてリヴィア
さんの方を向いている男性がガルボイウのワインメーカー(醸造
の責任者)です。
10月上旬と言えば収穫の真っ最中、そして2017ヴィンテージの
醸造の真っ最中ですから、普通、この時期にワイナリーを訪問し、
十分なもてなしを受ける事はありません。
しかし、今回は政府、自治体、ルーマニア・ソムリエ協会などの
あらゆる組織のバックアップがあり、行われているイヴェントの
一環ですからこの時期ではありえない待遇の下、かけがえのない
経験、時間の過ごし方をしたのです。
上下の画像はほぼ発酵が終了した白ワイン(葡萄はChardonnay
/シャルドネ)で、上の画像が既に一度使った2年目の小樽使用の
ワイン、下の画像は新樽使用のワインです。
同じブドウ、シャルドネで造った白ワインですが、備えている
風味が異なります。2年目樽の方のワインにはカシューナッツ
の香りを感じ、新樽の方のワインにはホワイトチョコの香りを
感じます。味わいは前者より後者の方が粘性、リッチさを感じ、
より芳醇です。ワインは育つ環境が異なると(葡萄も育まれた
環境が異なれば同じ品種であっても性格が異なる様に)類似性
があるものの、その香味を異にします。
醸造設備を見学した後はお待ちかねのテイスティングの時間
です。ワイナリーの2階のゲストルームで意見を活発に交わし
ながら7種類のワインをテイスティングしました。
ガルボイウのワインはいずれも出色の出来栄えなのですが、赤
よりも白やロゼにより心を打たれます。2種類のスパークリング
ワイン白、2種類の白ワイン、1種類のロゼワインは今すぐ店で
販売したい衝動に駆られる程でした。
中でも超レアな葡萄Plavaie/プラヴァイエで造った白ワインは
ミネラル豊かな海の幸(生カキ、生シラスなど)の最高の相棒
になり、メジャーな白ワインでしたらMuscadet/ミュスカデや
Gavi/ガヴィ、そして非常に良く出来た甲州を思い浮かべると
その香味、酒質をイメージ出来るでしょう。
こちらは小樽で発酵熟成したロゼワインです。この手のロゼは
なかなか出会う事がありません。ロゼワインとしての多様性を
考えるととても面白いし、ロゼワインの活躍の場を豊かに広げ
ロゼワインの素晴らしさをより多くアピール出来ると思います。
エビの風味が備わったクリームソースのスパゲッティ、チーズ
とトマトのホットサンド、ドリアやラザーニアを食べつつこの
ロゼワインを味わいたいとテイスティングしながら思ったもの
でした。
ガルボイウのワインは今まで日本の市場に登場した事がないの
ですが、彼らは日本へ輸出する気持ちを強く持っていて、日本
へやって来るのは時間の問題かと思います。来日した際は是非
ガルボイウのワインを味わって下さい。その凄さに驚かない人
はいないでしょう。