2017年6月5日月曜日

ボージョレについてもう少し

Nouveau/ヌーヴォーで認知度の高いフランスワインのBeaujolais/
ボージョレですが、私達が思い描いているよりも奥深く、熱視線を
送る価値のあるワインと言えます。
ボージョレ地方では白ワイン用にChardonnay/シャルドネが、ロゼ
と赤ワイン用にGamay/ガメイが栽培され、ワイン法で定められた
規定に則りワイン造りが行われています。
ボージョレ地方には3つのカテゴリーのワインがフランスのワイン法
で認められていて、上のクラスから順にCrus des Beaujolais/クリュ
・デ・ボージョレ、Beaujolais Villages/ボージョレ・ヴィラージュ、
そしてBeaujolais/ボージョレとなっています。
ボージョレ・ヴィラージュとボージョレは白、ロゼ、赤ワインの全て
を造れ、ヌーヴォーもありますが、ヌーヴォーだけは白ワインを造る
事が認められていません。クリュ・デ・ボージョレは赤ワインのみで
ヌーヴォーを造る事は認められていません。
ボージョレ地方訪問記の連載を前に予備知識を身に着ける為、前回は
クリュ・デ・ボージョレの説明をアップしました。本日はボージョレ
・ヴィラージュについての説明をアップしたいと思います。




原産地呼称ワインのボージョレ・ヴィラージュはボージョレ地方
の北半分に分布する38の村にまたがるエリアで誕生します。この
エリアの中の限定された地域がクリュ・デ・ボージョレの原産地
になります。上の画像の赤いエリアがクリュ・デ・ボージョレの
原産地、周りのオレンジ色のエリアがボージョレ・ヴィラージュ
の原産地です。
ボージョレ・ヴィラージュの原産地内には38の村があるのですが
上の画像でカウントしますと30村しかありません。その30の村は
Rhone/ローヌ県にある村で、ローヌ県の北に隣接するSaone et
Loire/ソーヌ・エ・ロワール県にも8村あり、合計38となります。



上の画像は38村の内のひとつQuincie en Beaujolais/カンシエ・
アン・ボージョレ村が始まると教えてくれている道路標識です。
標識の下の樽の側面を見ますとボージョレ・ヴィラージュの表記
に加え、Brouilly/ブルイィー、Cotes de Brouilly/コート・ド・
ブルイィーの表記があります。
このカンシエ・アン・ボージョレ村はクリュ・デ・ボージョレの
ブルイィーとコート・ド・ブルイィーの原産地に認定されていて
格下の原産地呼称であるボージョレ・ヴィラージュの原産地にも
なっているのです。
つまりワイン法で認められている格上の呼称の原産地では、下の
カテゴリーのワインを造れ、クリュ・デ・ボージョレの産地なら
この地で造ったワインをボージョレ・ヴィラージュとしてでも、
ボージョレとしてでも販売が可能になる訳です。ワインの呼称は
原産地が狭い方が広い原産地よりも格上になるのが基本です。



しかしそんなに単純ではない所がワインの奥深さでもあります。
上下の画像はカンシエ・アン・ボージョレ村(どちらも赤線で
囲まれたエリア)です。この村はクリュ・デ・ボージョレの為
の原産地ですから、ボージョレ・ヴィラージュやボージョレの
為の原産地でもある事は既に述べました。


こちらのGoogle Earthの画像をご覧下さい。村内の濃い緑色の
所は森林で、薄い緑色ぽい所がブドウ畑や民家などです。B、V、
Cとオレンジ色で区分したエリアが話を少々複雑にしています。
Bはボージョレ、Vはボージョレ・ヴィラージュ、Cはクリュ・デ
・ボージョレを意味し、そこにある畑はそれぞれのカテゴリーの
ワインを造る為のブドウを栽培する地になっています。
ひとつの村であっても土壌、地勢、気候などの自然環境の微妙な
相違により畑は区分されていて、クリュ・デ・ボージョレの為の
村と認定されてはいても、このカテゴリーの為の畑として十分に
役割を果たす事が出来ないと判断されたなら、格下のワインの為
の畑に認定される。この様な仕組みにワイン法はなっています。