2017年6月15日木曜日

ボージョレの白ワインは凄かった。

Nouveau/ヌーヴォーでも有名なBeaujolais/ボージョレと言う
原産地呼称のフランスのワインには白ワインもあるのをご存知
でしょうか?参考までにボージョレ地方のヌーヴォーには白は
ありませんが。
原産地呼称ワインのボージョレが誕生するのは美食の街Lyon/
リヨンの北西に広がるボージョレ地方です。この地方では主に
赤ワインが造られ、白ワインの生産は極わずか、全体の2%程の
割合しかありません。それだけしかないのですからBeaujolais
Blanc/ボージョレ・ブラン(白ワイン)は超レアものと言って
良いかもしれません。
何故、2%の生産量しかないのか。もっと造れば良いのに。そう
思うでしょう。2%しかない事には明確な理由があります。結論
を先に言いますと、やらない(造らない)のではなく、出来ない
(造れない)のです。



ワインを造る為のブドウ栽培は、植えたいブドウを植えたい所へ
好き勝手に出来る訳ではないのです。土壌、地勢、気候など自然
条件とブドウの相性を考慮し、この畑にはAと言うブドウを植え、
こちらの畑にはA品種は向かないので、別の品種を植えると言う
具合になっています。
ボージョレ地方は長い歴史の中の試行錯誤の結果、ロゼワインと
赤ワイン用のブドウとしてGamay/ガメイが選ばれ、白ワイン用
のブドウとしてChardonnay/シャルドネが選ばれました。
また、ボージョレ地方の多くは花崗岩が主体の土壌であったり、
花崗岩を含んだ土壌である事が一般的で、この様な土壌とこの地
の気候条件はガメイには好適となっています。上の画像が花崗岩
を多く含んだ土壌です。
しかし、自然とは不思議でその様な土壌が多く広がるボージョレ
地方でも花崗岩を含まず、石灰岩や粘土で構成された土壌の地も
あり、この様な粘土石灰質の土壌ではガメイでなくシャルドネが
好適となります。下の画像が粘土石灰質の土壌です。花崗岩質の
土壌と比べると白っぽく見えます。白ぽさは石灰岩に由来します。
つまり、ボージョレ地方内の原産地呼称ワイン認定地にはたった
2%程の粘土石灰質土壌の畑があり、これらの畑にシャルドネを
植え、育み、白ワインを造っているのです。2%の秘密とはこれ
なのです。



石灰質の土壌は白ワインを造る為のブドウとの相性が良く、そこ
に粘土が混じるとシャルドネにとってパーフェクトと言える土壌
になります。


ボージョレ地方のそんな粘土石灰質の土壌で育まれたシャルドネで
造った驚愕の品質の白ワインが上の画像です。訪問記の最近の連載
で取り上げたDomaine du Vissoux/ドメーヌ・デュ・ヴィスーが
造りました。
フレッシュで一点の曇りもないクリーンなフルーティーさを香りに
感じ、味わえば柑橘果実を思わせる爽やかな酸味とミネラリーさを
基調としたシャープさが五感をリフレッシュしてくれます。


このタイプの白ワインには淡い味わいの食材のナチュラルさを削ぐ
事無く作った料理に柑橘果実の果汁を添えてあげたり、エクストラ
・ヴァージン・オリーヴオイルと柑橘果実の果汁、新鮮な生醤油で
作ったソースで味わう白身魚のカルパッチョなどが最高の相棒です。



初夏に向け、キス、スズキなど旬の白身魚が手に入ったなら、早速
調理し、ドメーヌ・デュ・ヴィスーのボージョレ・ブランで最高の
マリアージュを創造してみて下さい。白ワインって良いな。必ず、
そう実感します。
*Domaine du Vissoux 2016 Beaujolais Blanc
 ドメーヌ・デュ・ヴィスー2016ボージョレ・ブラン
相性の良い料理:柑橘類の酸味や青みの薬味、ハーブが良く合う
淡白な味わいの料理。チーズなら、シェーヴル(山羊乳)タイプ。
飲み頃温度:7度。
<軽く、爽やかな辛口>
3,000円