2017年6月10日土曜日

ボージョレ地方訪問記連載前の最終予習

Beaujolais/ボージョレ地方にはフランスのワイン法により規定された
3つのカテゴリーのワインがあり、白ワインはChardonnay/シャルドネ
で、ロゼワインと赤ワインはGamay/ガメイで造る事になっています。


私達、日本人にはNouveau/ヌーヴォーのイメージがあまりにも強烈な
ボージョレですのでこの地方のワイン=赤と思いがちです。確かに赤が
主体ですから仕方のない事なのですが。
 It is the exception to the rule in an area where Gamay is king.  
Chardonnay represents just 2% of overall production in the 
region. Over 400 winegrowers toil to bring out the best in
Chardonnay in the Beaujolais and Beaujolais Villages AOC 
growing area.      ↑
ボージョレの公式WEBにも記載されています様に、ボージョレ地方の
白ワインを造る為のシャルドネの栽培はこの地方全体の僅か2%です。
この2%のシャルドネを400以上の生産者が全力を傾け、一切の妥協を
せず栽培し、白ワインを造っています。
ボージョレ地方にある3つのカテゴリーのワインは最上位にCrus des
Beaujolais/クリュ・デ・ボージョレがあり、この地方北部エリアの
限定された地域で育まれたガメイで造った赤ワインで、10の呼称が
あります。
次にBeaujolais Villages/ボージョレ・ヴィラージュがあり、クリュ
・デ・ボージョレの地域を囲む様にボージョレ地方の北部に広がり
38村がこの地域内に点在しています。ワインは白、ロゼ、赤があり、
ヌーヴォーを造る事が認められていますが、ヌーヴォーは白ワイン
がありません。
更にBeaujolais/ボージョレがあり、ヴィラージュ地域以外(この
地方の南部エリア)が原産地です。ボージョレ・ヴィラージュ同様、
ワインは白、ロゼ、赤があり、ヌーヴォーもありますが、やはり白
がありません。




白ワインを造る為のブドウ、シャルドネの栽培面積は全体の2%程で
造られる白ワインもボージョレ地方のワイン全体の2%を少し下回る
程度です。
上の画像の地図上にある2つの緑色の楕円の辺りが特にシャルドネの
栽培に適していて、上の楕円がボージョレ・ヴィラージュの白ワイン
主産地で、下の楕円がボージョレの白ワインの主産地です。
ワイン造りの為のブドウは家庭菜園の様には行きません。自分が栽培
したいと思っても自然環境がそれを許さない。この様な事はワイン用
ブドウではしばしば起こります。
赤ワインが主体のボージョレ地方で主に栽培されているのはガメイ。
そして白ワインの為のシャルドネはたった2%だけ。何故、そうなの
か。主な理由は土壌の違いにあります。ガメイと言うブドウが特に
好む土壌は花崗岩。シャルドネと言うブドウが特に好むのは石灰質
の多い土壌。ボージョレ地方にはシャルドネが多く栽培される2つの
地域がありましたが、その土壌は他所より石灰質の割合が特に高く、
ガメイよりシャルドネの栽培に適しているのです。ブドウを栽培する
人が任意で勝手にそうしたのではなく、長い時間を経て、思考錯誤の
結果、そうなった。ワイン用のブドウ栽培にはその様な秘密が隠れて
います。



ボージョレの白ワイン、ボージョレ・ヴィラージュの白ワインは非常
にレアだと言えます。日本のマーケットでは特にそう言えるでしょう。
統計によるとボージョレの白はボージョレ・ヴィラージュの白の2倍
の生産量があります。それにも関わらずボージョレの白でさえ、日本
での流通は極少量です。
過日のボージョレ地方滞在ではテイスティング経験の少ない白ワイン
に多く出会いたいと思い、訪問先のDomaine/ドメーヌ(ブドウ畑を
所有しそこで育んだブドウでワイン造りを行う生産者)でワインを
チェックする際には白ワインがあったならパーフェクトに神経を研ぎ
澄ませてその白ワインに向き合いました。
ボージョレの白ワイン、ボージョレ・ヴィラージュの白ワインに共通
する要素はフルーツのクリーンなピュアさ、酸味の美しいシャープな
伸び、清々しさ、清涼感ある味わいと言えます。
ボージョレ地方を200kmほど北上すると最も有名な辛口白ワインの
原産地があり、Chablis/シャブリと言うワインが誕生します。この
シャブリに類似する香味を備えていると言えば、イメージ出来る人
が多くいるかもしれません。
これから気温がどんどん上昇し、気分を爽やかにしてくれるワイン
が恋しくなりますし、暑い時には柑橘類の果汁を添えたり、ポン酢
で食す淡い味わいの料理を食べる機会が増加します。そんな時には
ボージョレ地方の白ワインが大活躍。今回の訪問で出会った驚きの
品質の2種類の白ワインが既に当店に届いています。これから連載
する訪問記の中で紹介して行きます。