2016年10月23日日曜日

このタイワインの半端ない高級感

タイでワイン?そう驚く人が以前よりも少なくなりましたが、今でも驚きを
隠せない方がいらっしゃいます。タイのイメージと言えば、南国フルーツ
が有名な様に熱帯亜熱帯の国。一番気温が低くなる季節でもコートなど
不要の暖かさ。そんな高温エリアでワイン造りができるのか?そう思って
も不思議はありません。
タイがワイン用ブドウの栽培に成功し、良質の、中には秀逸なワインを
造り出す事ができる最大の秘密は、雨季と乾季が明確に分かれる気候
区分(サヴァンナ気候)に属している事です。
乾季の始まりと共にワイン用ブドウの活動が活発化、乾季の終わりには
収穫が終了する為、湿気による病気の心配がない事。栽培期には昼間
と夜間の気温差が大きく、日中の高温下での活動の疲れを十分癒せる
休息を取れる涼しさが夜間に訪れる事。タイのぶどう栽培地の気候風土
に適合した品種(クローン)を見つけ出せている事。などもタイが世界に
通用するワインを誕生させている要因です。




タイでは赤ワインを造る事の出来る黒ブドウのSyrah/シラー(果皮の色素
をどの様に使うかでロゼワインも白ワインも造れます。)、白ワインを造る
為のChenin Blanc/シュナン・ブランがワイン醸造用高貴品種として主に
栽培されています。
上の画像はタイのトップ生産者Gran Monte Vineyard and Winery/グラン
・モンテ・ヴィンヤード・アンド・ワイナリーの自社畑の収穫前のシラーです。
立派に育ったシラーを見れば、この地がワイン造りに適した地である事が
明白です。
良質のブドウがあれば、良質のワインが出来る。ワインのその殆どは畑
で造られる。と言われていますから、グラン・モンテが驚きの品質の数々
のワインを造り出している事に全く驚かされません。




グラン・モンテが造るワインで最もコスト・パフォーマンスに優れたワイン
がこちらです。Heritage/ヘリテイジと言う商品名の赤ワインで、シラーを
100%使用し、造られています。
上の画像でご覧頂ける様に深い色合いで、熟成により落ち着いた色調
をしています。香りはシラー特有の紫色の花や果実の華やかさがあり、
赤身肉の料理が食したくなる野趣なヒントもあります。味わいは優しい
酸味にドッシリと広がる渋味(タンニン)が伴い、豊かなアルコール分の
温かい厚み、オーク樽からのオイリーな成分に包み込まれ、より柔和な
酒質に感じられます。そして口中の残香にはやはりシラー特有の明確
なブラック・ペッパーのホットなスパイシーさがあります。
このレヴェルのシラーの赤ワインをシラーの故郷フランスのローヌ地方
で探すなら、10,000円以上の出費を覚悟する必要があります。それが
3分の一以下で買えるのですから、いかにこのワインがハイ・レヴェル
なのかお判り頂けるでしょう。




*Heritage 2013 Asoke Valley Syrah
 ヘリテイジ2013アソーク・ヴァレー、シラー
相性の良い料理:脂肪分の多い、コッテリとしたコクのある料理。
         チーズなら、ブリー。青かびタイプ。
飲み頃温度:19度。
<まろやかなフルボディー>
3,000円(消費税別)




タイ産ワインの主要産地はバンコクの北にあるKhao Yai/カオ・ヤイ
です。ここにグラン・モンテの他に3つのワイナリーがあります。他
にバンコクの南Pattaya/パッタヤに1つ、バンコクの南西Hua Hin/
フア・ヒンに1つ、カオ・ヤイとバンコクの間に今年、植樹し、ワイン
造りをスタートさせたワイナリーが1つあります。
また、興味深いのはデルタ地帯に浮かんだ畑でタイのオリジナル・
ブドウ、Malaga Blanc/マラガ・ブランとPokdum/ポクダムを栽培し、
前者でデイリーな白ワイン、後者でロゼワインと赤ワインを造って
います。




上の画像がそのFloating Vineyard/フローティング・ヴィンヤードです。
水に浮いているとは感じない程、安定しています。この様な水耕です
と年に数回の収穫が可能なのですが、ワインを造る目的で栽培する
マラガ・ブランとポクダムは乾季のみに1回だけ収穫します。
このフローティグ・ヴィンヤードはバンコクの西方にあり、バンコクから
日帰りエクスカーションが複数の旅行代理店により実施されています。
ここで収穫されたブドウを使いワイン造りをしているワイナリー訪問も
含まれています。