2016年6月10日金曜日

Supmante/スプマンテだけではありません。

Oltrepo Pavese/オルトレポ・パヴェーゼ、この原産地呼称は決して
忘れる事の出来ない苦い記憶の中にインプットされています。それ
は2007年に広島で行われた第7回ワインアドバイザー全国選手権
大会の決勝での事でした。
設問の一つに一番新しいD.O.C.G.(統制保証原産地呼称ワイン=
法に従い、国の検査をクリアし、格付けされたイタリアワイン)は何
で、それはどの品種から造られていますか?と言うものでした。
その答えはこの大会の少し前に発売されたワイン専門誌のWinart
に載っていて、その記事を見ていたにも関わらず、記憶に明確に
留めていなかった為、答える事が出来なかった訳で、決勝の結果
は言うまでもありませんでした。
そんな苦い思い出を創ってくれた原産地に昨秋、行って来ました。
D.O.C.G.に格付けされたワインは主要品種がPinot Nero/ピノ・
ネロ(Pinot Noir/ピノ・ノワのイタリア名)のSupumante/スプマンテ
(スパークリングワイン)なのですが、Riesling/リースリング、Pinot
Grigio/ピノ・グリージョから造られる白ワインやBarbera/バルベラ、
Croatina/クリアティナから造られる赤ワインもあり、またピノ・ネロ
から造られる赤ワインの品質は非常に高く、イタリア産ピノ・ネロの
赤ワインを代表する産地とされています。




オルトレポ・パヴェーゼはロンバルディア州にあり、その原産地の
西はピエモンテ州のColli Tortonesi/コッリ・トルトネジと言うワイン
の産地になります。
イタリア滞在中にあまりなかった曇天の下、ワイナリーへと向かい
ます。どこかへ行く時に悪天候ですと、気分は乗らないものですが、
ワイナリーへ向かう時は例外です。気持ちは雲一つなく、晴れ渡り
清々しさに満ちています。これから起こる事への期待感が一杯で
心が弾んでいるのです。




訪問したワイナリーはTorrevilla/トッレヴィッラ。ミラノを南下した所
にあるVoghera/ヴォゲラと言う街の東方に2つの醸造所を構えて
います。上の画像の醸造所はCodevilla/コデヴィッラに、下の画像
の醸造所はTorrazza Coste/トッラッツァ・コステにあり、どちらとも
オルトレポ・パヴェーゼ(法で指定された原産地)からは少し外れて
いますので、醸造所の周りにはブドウ畑がありません。




このワイナリーはかなりの規模で、オルトレポ・パヴェーゼのエリア
ではこの様な大きな建物を構えたワイナリーはあまりありません。
折角、ここまで来ましたので、もう少し足を延ばしてブドウ畑を見に
行きました。但し、トッレヴィッラの畑ではありませんが。




オルトレポ・パヴェーゼはイタリアで一番広いパダナ平野の西端に
ありますので、急峻な地勢ではありません。なだらかな斜面のある
丘陵がいくつか連なる上の画像の様な風景です。
上の画像のブドウ畑は東向きの斜面に拓かれています。東向きの
斜面にある畑は朝日を十分に浴びますが、西日は浴びず、結果、
夕刻の畑の温度が比較的低くなり、酸味を十分に備えたブドウを
育む事が出来ます。酸味が命のスプマンテ(スパークリングワイン)
の為の原料ブドウに欠かせない要素を求めると、必然的に東向き
斜面の畑で原料ブドウを育てる事になるのです。




現在、当店で販売しているオルトレポ・パヴェーゼのワインは2種類。
その片方が上の画像の赤ワインです。ピノ・ネロから造られ、果実味
が優しく備わり、その中に酸味、甘味、渋味、苦味が穏やかに品良く
広がります。優美な深みはしっとりと、静かに味わいたい、その様な
状況に大活躍します。
*Cartesio Noir 2012 Pinot Nero dell'Oltrepo Pavese
 カルテジオ・ノワール2012ピノ・ネロ・デッロルトレポ・パヴェーゼ
相性の良い料理:脂肪分を含んだ旨味のある料理。
           チーズなら、パルミジャーノ。チェダー。
飲み頃温度:15~18度。
<まろやかなミディアムボディー>
2,500円(消費税別)