世界一有名な辛口白ワインと言えばフランスのブルゴーニュ地方最北
の地で誕生するChablis/シャブリ(いやそうじゃないよと言う人がきっと
いるとは思いますが...。)でしょう。
シャブリはシャブリ村を中心に東西南北それぞれに約8キロメートルの
幅で伸びたエリアに点在する村々のワイン法で指定された畑で育んだ
Chardonnay/シャルドネで造る非発泡性(スパークリングワインでない)
の白ワインで、必ず辛口です。
原産地呼称シャブリ地区では赤ワインやロゼワイン、そしてCremant/
クレマン(スパークリングワイン)も造られていますが、既に述べました
様に非発泡性の辛口白ワインのみがシャブリとなります。赤やロゼは
Bourgogne/ブルゴーニュと言う名のワインに、スパークリングワインは
Cremant de Bourgogne/クレマン・ド・ブルゴーニュと言う名のワインに
なります。
シャブリ地区があるのはブルゴーニュ地方。しかし、フランスの地図を
みればそこは世界一高貴なスパークリングワインであるChampagne/
シャンパーニュを誕生させるシャンパーニュ地方のすぐ隣です。
気候条件も似ていますが、土壌も似ていて、含有比率の違いがある
もののシャブリ地区もシャンパーニュ地方も石灰質と泥灰質の組み
合わせで成り立っています。
更に、どちらの地区もシャルドネから白ワインを造り、シャブリ地方では
シャブリと言う非発泡性辛口ワインが、シャンパーニュ地方では瓶内で
炭酸ガスを捕捉する2次発酵をさせ発泡性ワインが造られます。
非発泡性と発泡性の違いはあるものの原料ブドウのシャルドネが育つ
自然環境には共通項がたくさんあり、結果、出来上がるワインにも類似
する要素を見つけ出す事が出来ます。
シャブリはワイン法で非発泡性の辛口の白ワインと定められています
ので、その地で造られる発泡性ワインはシャブリではなく、クレマン・
ド・ブルゴーニュ(ブルゴーニュ地方産のスパークリングワインの意)
になります。
先日、Vinexpo Hong Kongで出会ったクレマン・ド・ブルゴーニュは既に
知っていたクレマン・ド・ブルゴーニュの香味の大きな枠からはかなり
かけ離れ、繊細さ、上品さ、涼しさを感じ、一言で形容するのなら「美」
と言えました。
それもその筈、そのクレマン・ド・ブルゴーニュはシャブリ地区で育った
シャルドネで、この地で最高のシャブリを造り出すと定評のあるCollet
/コレ家が造っていたのですから。
クレマン(多くのスパークリングワインも)を造るには先ず、非発泡性の
ワインを造ります。そのワインを瓶に詰め、そこに炭酸ガスを捕捉する
為の発酵に必要な糖分を加え、瓶内で発酵をさせます。そうして発酵
が終わると発泡性ワインへと生まれ変わっている訳です。
非発泡性ワインが発泡性ワインに変わるのですから、良質の発泡性
ワインを造る為には良質の非発泡性ワインが欠かせません。コレが
造ったクレマンが素晴らしいのにはそんな理由があったのです。
シャンパーニュ地方に隣接するシャブリ地区で、シャンパーニュ地方と
類似する自然環境で、シャンパーニュ地方で育まれるブドウと同品種
のシャルドネからコレが造った非発泡性ワインを原料に、伝統的製法
(シャンパーニュと同じ瓶内2次発酵)で造られたクレマンの品の良さは
もうシャンパーニュの域に達しています。
かつて出会ったクレマン・ド・ブルゴーニュの中で最も高貴で美しいと
言える上の画像のワインをシャンパーニュ好きの人に是非、味わって
頂きたい。シャンパーニュ好きの人にこそ理解してもらえる凄さがその
瓶の中に詰まっています。
*Gilles et Romain Collet Cremant de Bourgogne Brut
ジル・エ・ロマン・コレ、クレマン・ド・ブルゴーニュ・ブリュット
相性の良い料理:柑橘類の酸味や青みの薬味、ハーブが良く合う
淡白な味わいの料理。
チーズなら、シェーヴル(山羊乳)タイプ。
飲み頃温度:7度。
<軽く、爽やかな辛口> 3,500円(消費税別)