2016年4月14日木曜日

Stony Hill Vineyard/ストーニー・ヒル・ヴィンヤードPart1

ワイン産地の訪問、ワイナリーの訪問は基本的に店での商いに結び
付く所が目的地になるのですが、それとは別に個人的興味から絶対
に訪問したいと思った所も時には目的地になります。
今回の北カリフォルニアのワイン産地巡りでは全くの個人的興味から
の為に3つのワイナリーへ足を運びました。その一つはNapa Valley/
ナパ・ヴァレー最北のワインの街Calistoga/カリストガからSt.Helena/
セント・ヘレナ(現地ではサンテレーナと呼ばれる)へ南下する途中の
右側にあるアメリカ合衆国政府認定ブドウ栽培地域Spring Mountain
District/スプリング・マウンテン・ディストリクトにあります。
Stony Hill Vineyard/ストーニー・ヒル・ヴィンヤードと言うワイナリーで
Chardonnay/シャルドネで造る白ワインがカリフォルニアでトップとの
評価を得ています。





実は北カリフォルニアに行くに当たり、計画を立てていた時に初めて
このワイナリーの事を知り、即座に訪問を決めました。醸造や熟成に
使うオーク樽の要素が明確に備わる白ワインが多い中、フルーツの
ピュアさを全面に押し出す異色のワインがカリフォルニアにある事に
強い関心を抱いたからです。
ワイナリーのHPで調べ、予備知識を持って行ったのですが、驚いた
事にロゼ・ワインもあり、しかもPinot Noir/ピノ・ノワなど比較的冷涼
な気候下で栽培されるブドウではなく、比較的温暖な気候下で栽培
されるCabernet Sauvignon/カベルネ・ソーヴィニョンから造られたと
言うのですから。
なぜ驚きなのかと言いますと、ワイナリーに隣接の畑ではRiesling/
リースリング、Gewurtztraminer/ゲヴュルツトラミネルがシャルドネ
と共に栽培され、それらが栽培されていると言う事はここが比較的
冷涼な気候のエリアであると証明している様なものだからです。
事実、スプリング・マウンテン・ディストリクトは標高183~792mの間
に広がっていて、ストーニー・ヒルの畑は250~400m辺りに位置し、
カベルネ・ソーヴィニョンが主に栽培されるValley Floor/ヴァレー・
フロアー(下の画像の右側の田んぼの様に見えるエリアで大部分
が標高100m以下)とは条件が全く異なります。




上の画像の山の中にストーニー・ヒルがあります。赤い矢印の所
からブドウ畑は始まり、赤い○で囲んだ所で終わります。矢印を
左に行くに従い標高が高くなります。
驚きはそこだけで終わりませんでした。カベルネ・ソーヴィニョンが
育てられているのが赤い○で囲んだ畑、最も標高が高い所にある
畑だったからです。比較的温暖な気候下を好むブドウを最も標高
が高い所(普通に考えれば一番涼しい所)に植樹している事実。
これは衝撃的事実です。
しかし、ストーニー・ヒルのロゼワインをテイスティングして、ある事
を感じ、なぜ一番標高が高く、より冷涼な気候のエリアでカベルネ
・ソーヴィニョンが育まれているのか納得しました。
カベルネ・ソーヴィニョンはタンニン(渋味)がとても強い赤ワイン
を造れるブドウです。例えそれがロゼワインであったとしても渋味
をシッカリ感じるワインになります。別の言い方をすれば、十分な
ロゼの色調をワインが持つ為に果汁に果皮の色素を移してしまう
とワインが渋くなり過ぎ、バランスが悪くなります。
その解決策として、色素を備え過ぎないブドウ栽培をし、ワインが
赤ワインの様に強くならない様にする。つまり、爽やかさと軽やか
さ、軽度の渋味のアクセントを持つワインになる様なブドウを栽培
しているのです。




サーモンの身ぽい色調を感じる本格的なロゼワインの外観を
していますが、メントールの爽やかさ、サクランボ様の爽やかさ
を感じ、酸味と軽度のタンニン(渋味)のアクセントが実に快適
です。トマトの酸味を生かした冷製の料理と共に盛夏に楽しみ
たくなる様な香味をしています。
ストーニー・ヒル・ヴィンヤードが凄いのはシャルドネの白ワイン
だけではなかった。超レアもののロゼワインが入手できた上に、
ストーニー・ヒルの真実も知る事ができた。大収穫です。あとは
このワイナリーのワインを店で販売できる日が来るのなら十分
です。