2016年3月17日木曜日

インド発、初のインターナショナル・ワイン

常識を覆せ。きっとそんな思いを抱きつつ、彼の挑戦は始まったので
しょう。スタンフォード大学を卒業、シリコン・ヴァレーでIT事業に従事
していたラジーヴ・サマントはある壮大な計画を立てました。それは
生まれ故郷のインドで世界に通用するワインを造る事。
ラジーヴはアメリカから故郷インドに戻ると、600mの高地に位置する
Nashik/ナシクにブドウ畑を拓き、世界進出への第一歩を刻みます。
1997年の事です。
その頃、北半球のワイン醸造用ブドウの栽培適地は北緯30~50度
の間と言われていましたから、ワイン関係者の多くの人が無謀なと
考えていたかもしれません。
赤道に近いのなら、高さでそれを補え。今、注目されているインドと
共に注目度急上昇のNew Latitude Wine/新緯度ワインと呼ばれる
タイのワインも高地の日夜の寒暖差を利用し、常識を打破しようと
する新たな挑戦により誕生しています。
常識とは自分が勝手に造った限界。他人の常識は自分の非常識。
そう言う思考が何かを生み出しています。ラジーヴが思いを込め、
設立したワイナリーの名はSula Vineyards/スラ・ヴィンヤーズ。
スラ以前にもワイナリーは存在しましたが、スラほど国際的に認知
されたワイナリーはありません。インド発、初のインターナショナル
ワイン、それがスラ・ヴィンヤーズのワインなのです。


スラのワインに出会ったのは2004年。パリのオペラ座近くにあるワイン
専門店Lavinia/ラヴィニアででした。上の画像の入口を入ると、大陳列
のスペースがあり、そこにスラの様々なワインが並び、次々に来店する
お客様に無料でテイスティングさせていました。
インドのワインなどその当時、見た事も、味わった事もありませんでした
ので、ラッキーとばかりに全種類テイスティングしました。赤ワインには
それほど衝撃を受けなかったものの、Sauvignon Blanc/ソーヴィニョン・
ブランとChenin Blanc/シュナン・ブランから造られた2種類の白ワインの
凄さにメガトン級の驚きが身体を駆け抜けました。
そんな感覚を覚えたのは自分一人だけではなかったのです。その証拠
に品種別の売上ランキングが店内に貼り出してあったのですが、スラの
その2種類の白ワインはフランスワインすら抑え、それぞれの最上位に
ランクされていました。
興味本位の購入によるランク・インではなかった筈です。実際に味わい
納得して購入している人がほとんどだったそうですから。その∞の衝撃
を抱きつつ、日本に輸出してくれないかな。どこか輸入してくれないかな
と思い、その場で購入したスラのワインと生ハム、バゲット(フィセル)の
夕食をホテルの部屋でとった事をハッキリと覚えています。
それから数年後、東京のインポーターが輸入を開始、当然、当店での
販売は直ぐに始まりました。



∞の衝撃を与えてくれたスラのワイン。市場に登場して以来、15年が経ち
ました。それを記念し、見た目も味わいもヴィヴィッドで食卓で、祝いの席
で華を添えてくれるスパークリングワインが出来上がりました。
地元で「永遠の生命」を意味するペイスリー柄をまとった瓶に入り、Pinot
Noir/ピノ・ノワを主体に造られたワインはほんのりベージュの色調を感じ
ピュアな果実味が優美に広がります。抜群のバランス感ある酒質はパリ
で受けた衝撃を見事によみがえらせます。いや、あの時の衝撃を遥かに
凌いでいます。
スラの快進撃は止まる事を知りません。インド発、初のインターナショナル
ワインにまた一つ輝かしい1ページが加わりました。あなたにもそんな∞
の驚きを感じてほしい。珍しいものなら、品質は二の次でOK?それはダメ
です。珍しいインド産のワインだからこそ、品質も重要です。
ワイン専門店で商いをするソムリエである私も、ワインにうるさいパリっ子
も驚き、その品質を認めたスラ。それを是非、あなたの五感でチェックし、
実感してみて下さい。
Sula Brut/スラ・ブリュット
相性の良い料理:素材の持つ優しい甘味を生かした軽やかな味わいの
           料理。チーズなら・・・モッツァレッラ。
飲み頃温度:8~10度。
<軽く、まろやかな、やや辛口>
3,000円(消費税別)